読書生活 

本もときどき読みます

下駄箱に下駄は入れないし、筆箱に筆は入れない

 息子の授業参観での出来事です。新規採用の若い先生が、後ろで立っている親に向かって「父兄の皆さん」と声をかけたところ、親の一人が「先生、父兄ではなく保護者ですよ」と言い返したとのこと。

 険悪なムードになったわけでなし、そのお母さんも陽気で明るい方なので何の問題もないのですが、そうですか「父兄」はだめで今は「保護者」ですか。

 わたしが子どもの頃は、「父兄」という言い方が、少なくともわたしの育った地域では一般的でした。調べてみると、「父兄」という言葉は男尊女卑的な響きがあり、今ではほとんど使われないとのことでした。学校における「父兄」が父と兄ではなく、生徒の保護者を指すことは、暗黙の了解だと信じていました。その証拠に「父兄参観」にはお母さんが圧倒的多数であり、それを不思議と感じたことはありません。

 だいたい、言語は現実とずれるものなんです。「下駄箱」に「下駄」を入れたことはありませんし、入れている人を見たこともありません。また、「筆箱」に「筆」を入れたこともありませんし、入れている人を見たこともありません。字面として、「父兄」が問題だというのなら、「母校」や「母国」も問題のはずです。しかし、こちらについては指摘されているのを聴いたことがありません。これは逆差別ではありませんか。それとも「父兄」がだめだと知らなかったように、今は「母国」や「母校」もだめなのでしょうか。

 こういう言葉、探せばまだまだありそうですね。あったら教えて下さい。 

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