読書生活 

本もときどき読みます

私の「せっかち」は遺伝でした。年を取れば取るほど、距離を置いているにもかかわらず親に似てくる。 

 昔からせっかちで、人を待つのも待たせるのも嫌いです。私の周りにはのんびり屋さんが多く、いらいらすることばかりです。特に妻はのんびりでマイペース。彼女と結婚して15年以上たちますが、彼女を待っている時間の総量は凝縮すると私の人生の中の2年くらいにはなると思います。私の人生の2年は、彼女を待つ時間です。 

 時間だけでなく、効率などの概念も欠けています。共働きなので炊事や洗濯などの家事は基本分担しているのですが、彼女の仕事ぶりには驚くことばかりです。妻の夕食当番の日、私が帰宅すると妻は録画したテレビを見ています。「ご飯は?」と聞くと、テレビを見てからやるとのこと。テレビを見終わったら、ご飯を炊いて料理開始です。

 ここです。帰宅した後、少し我慢してご飯をといで炊飯器のスイッチを押してからテレビを見たらいいじゃないですか。何度も言いますが、そのたびに嫌な顔をされるのでもう今は言いません。洗濯もそうです。テレビを見てから洗濯機のスイッチを入れます。なぜテレビが先なの?最初に洗濯のスイッチ押しておけば、テレビが終わるころ洗濯も終わるでしょう。結婚した時はそんなに感じたことはありません。しかし、だんだん妻の動きがゆっくりになっている気がします。

 先日、実家に帰りました。年老いた父母がいます。夜、父が寝た後、母が言います。父の様子が最近変なのだと。と聞くと、

 朝5時に目覚ましをかけたら、父は4時頃起きて、母の肩に手を当て「おい、もう4時だぞ」と起こす。「まだ一時間もあるじゃないか」と母が起きずにいると、父は布団を抜け出し庭に出たり顔を洗ったりお茶を飲んだりして落ち着かず、それだけならまだしも、「おい、あと50分だぞ」「40分だぞ」と10分おきに起こしにくるのだと。おかしいと思わない?と。

 それを聞き、妻がずっと笑ってて。

 行動遺伝学者の安藤寿康さんは「遺伝子の不都合な真実」で、

「遺伝は一生変わらない」という先入観にもよく陥るのですが、遺伝の影響には年齢によって変化する場合があります。年齢が上がるにつれて遺伝の影響が大きくなります。年をとればそれだけ経験の量がまして、そのぶん環境の影響が大きくなりそうなものですが、逆に遺伝の影響が大きくなることがあるのです。

と言っています。年を取れば取るほど親に似てくるとのことです。小さいときは大抵親と一緒に住んでいるため、親と環境が同じだから似ているのは当然と言えば当然ですが、成人して環境を自分で選択しているはずなのにどんどん親に似てくるというような話です。趣味趣向が親に似るので、多様な中から親と同じようなものを食べ、同じような服を着て、同じように考えるようになり、ますます似てくるとのことでした。

 そうか、自分はどんどんせっかちになっているわけですね。妻が変わったのではなく、私のせっかちが増してきているということのようです。