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「そういうおまえはどうなんだ」ブルゾンのwithBへの態度に思うこと

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 テレビにブルゾンとwithBが出ていました。スタジオには、劇団ひとりさんや千原ジュニアさんがいました。ブルゾンとwithBの関係性についてクイズ形式で聞く?ような感じでした。

 問題は

「ポンコツなwithBに対していつもキレてるブルゾンが、最後に言い放った一言は何でしょう」

というものでした(一字一句同じではありません。こういうニュアンスだった、というくらいの気持ちでお読みください)。

 答えは、

「わたしはもう怒らない。なぜなら、怒るとあなたたちは、いつまでたってもわたしを頼るから」

というものでした(これもニュアンスです)。

ブルゾンとwithBの関係性について

 このブルゾンとwithBの完全な上下関係も驚きなのですが、それはまだいいです。ブルゾンは、この関係性をまったく隠さず披露するところがひっかかります。「わたしみたいなぽっと出で、今はテレビに出られてますが、来年はどうなっているかわからないようなものが、諸先輩方の前で偉そうに言うのもなんですが」くらいの前フリがあれば、「こいつら実はポンコツなんです」とwithBのことを言うのもわかります。ところが、いきなり「こいつらポンコツ!」と諸先輩方の前でキレ、それに完全に従うwithB。

「そういうおまえはどうなんだ」 

 そんなブルゾンの態度に、「そういうおまえはどうなんだ」と思ってしまいます。ブルゾンもwithBも大好きなのですが、どうもこういうの苦手なんですよね。

 例えば、職場で後輩がさらに後輩を指導している場面。若手の指導は誰かがやらなければいけないことなので、腹を立てるほどでもないのですが、嬉々として後輩を指導したがる若手がどこの職場にもいました。こういう人種に違和感を感じるわけです。「おまえはどうなんだ」と。指導なんて、自分のことを棚にあげなければとてもできるものではないので、それを言い出したらきりがありません。ただ、「自分のことを棚にあげる」という作業を一切せず、嬉々として説教する輩に腹が立つわけです。ブルゾンのwithBに対する態度は「入社3年目が新人に新入社員としての心構えを教えている」というより、「入社3年目のくせに、仕事の深淵を極めたかのように先輩の前で新人に説教する」に近く感じます。

 もうひとつ例をあげるとするならば、賞レースの審査員です。大御所審査員が若手をくそみそにけなすことあるでしょう。「うわっ」と思います。「あなたよりよっぽどおもしろいよ」と思います。審査員はそう思われていることを考えていないのかな。

 審査にもコツがあるように思います。この前やってた「キングオブコント」の審査員は、みんな上手でした。バナナマンにしてもさまぁずにしても、若手のよさをしっかり引き出し具体的に語る、スマートで礼を逸さない姿勢に拍手でした。特に松本さんは凄い。ジャングルポケットのコントに厳しめの85点をつけた松本さんは、コメントを求められて、

これね、ジャンポケが悪いんじゃなくて、ちょっとエレベーターの開け閉めのタイミング(エレベーターが設定のコントでした)を、もっといい時、ちょっともったいなかったね、それがなかったら100点でもよかったかもしれない…(ジャンポケ斎藤の「15点もそれで引くの?」というツッコミに会場が湧く)

エレベーターの開閉はジャンポケが行ってるので、エレベーターの開閉のタイミングが悪いということは、ジャンポケが悪いのですが、笑いを交えてふわっと語る松本さん。脱帽です。

『職業としての小説家』村上春樹 

 村上春樹さんがその著書でおもしろいことを言っています。略しながら引用します。

 僕は生まれてこの方、文学賞の選考委員をつとめたことが一度もありません。どうしてかというと、理由は簡単で、僕は自分という軸に沿ってしか、ものごとを眺め、評価をすることができないのです。で、僕がそんな身勝手な軸やものさしを持ち込んで、それに沿って他人の作品を評価したりしたら、された方はたまらないだろうという気がします。既に作家としての地位がある程度固まった人ならともかく、出たばかりの新人の作家の命運を、僕のバイアスのかかった世界観で左右することはおそろしくてとてもできない。

 そして、「おまえも賞を取ったじゃないか、若手にもそういうサービスを提供する責務があるのではないか?」という問いに対して、自身のこういう姿勢を「身勝手で、エゴイスティックで、批判は甘んじて受けます」としながら、こう続けます。

 しかしその一方で、出版社が文学賞の選考委員を集めるのに苦労しているという話を聞いたことがありません。少なくとも、選考委員が集まらないので惜しまれつつ廃止になった文学賞の話もまだ聞いたことがありません。それどころか世間の文学賞の数はますます増え続けているように思えます。だから、僕が選考委員を引き受けなくても社会問題になるということもないみたいです。

 それからもうひとつ、僕が誰かの作品(候補作)を批判して、それに対して「じゃあ、そういうおまえの作品はどうなんだ?そんな偉そうなことを言える立場におまえはあるのか?」と問われると、僕としては返す言葉がなくなってしまいます。実際にその人の言うとおりなんだから。できることならそういう目にはあいたくない。

なるほど。では、選考委員になっている人のことを、どう思っているのか‥。

 かといって、はっきり断っておきたいのですが、文学賞の選考委員をしている現役の作家(いわば同業者です)についてあれこれ言うつもりは僕にはまったくありません。自分の創作を真摯に追求しながら、同時にそれなりの客観性をもって新人作家の作品を評価できる人もちゃんというはずです。そういう人たちは頭の中にあるスイッチをうまく切り替えられるのでしょう。そしてまた、誰かがそういう役目を引き受けなくてはならないことも確かです。そのような人々に対して畏敬の念、感謝の念を抱いてはいるものの、残念ながら僕自身にはそういうことはできそうにありません。

 書き方がうまいですよね。わたしは、後輩を嬉々として指導している若手に、「畏敬の念」や「感謝の念」などもったことありません。

うちの息子の反論 

 というわたしの意見に、中二の息子が真っ向から反対します。

息子曰く、

ブルゾンもwithBも、あれでおもしろくなるとわかってるからやってるんだ。あの番組で、「先輩方の前で言うのも何ですが‥」なんて言ったら、おもしろくなくなる。もっと言うと、withBという、ホントに天然でポンコツな2人を見つけたブルゾンが偉いと思う。

と言います。そうかなあ。

 

 ‥と書いた二日後、『行列のできる法律相談所』にブルゾンとwithBが出ているのを見ました。芸歴1年目のwithBが、バカまじめに芸歴40年のさんまにカメラの位置を教えるという天然ぶりに笑ってしまいました。その後の、嵐の櫻井くんや広末涼子さんとの絡みもとてもおもしろく、withBがとてもおいしく仕上がっていました。別にいいのかな。

 ‥と書いた一日後、『しゃべくりセブン』にブルゾンとwithBが出ていました。withBがポンコツなのでそれで笑えていましたが、「一年目なのに、ここで出て行かないのがおかしい」とブルゾンがwithBにキレていて、有田さんが苦笑いしていました。来年の今頃、ブルゾンが消えていてwithBがテレビにバンバン出ていてもおかしくないぞ。