読書生活 

本もときどき読みます

厳選5選 はじめての司馬遼太郎

おすすめの司馬遼太郎作品 

「司馬遼太郎、読んでみたいけどはじめの一冊にどれを選べばいいの?」「歴史はあまり詳しくないけれど司馬遼太郎作品には興味がある」という人におすすめの作品を紹介します。

 選んだ基準は、

  • 歴史の知識がなくても読める
  • 短い
  • 純粋にエンタメとしておもしろい

の3点です。この3点にしたということは、裏を返せば、司馬遼太郎作品には歴史の知識が必要な作品や、(歴史の勉強にはなるけれど)エンタメとしてはおもしろくない作品があるということです。

 まず、この5冊を手に取り、その人物なり時代なりに興味をもったなら、それに関連した司馬作品を読むといいでしょう。

1位 『燃えよ剣』 まず、騙されたと思ってこれを!

f:id:Yama-Mikasa:20171224112732j:plain

 時代は幕末、主人公は新選組の副長土方歳三(ひじかたとしぞう)です。歴史知識は「新選組を知っている」これだけで十分です。あの天才剣士、沖田総司や『るろうに剣心』でも活躍した斎藤一も出てきますよ。百姓の子として生まれ、田舎道場で剣を磨きながら、「侍になりたい」「名を挙げたい」「生きた証を残したい」という思いを胸に、全身全霊をかけ時代に戦いを挑みます。土方な壮絶な生涯はきっとあなたの胸をうつでしょう。上下巻のわずか2冊です。

 本当におもしろい。多くの司馬ファンがおすすめする作品です。「これがだめならしばらくの間は司馬作品から距離を置いた方がいい」、そう言えるくらいの名作です。

 岡田准一くん主演で映画化もしました。コロナで延期しています。残念。

2位 『新史 太閤記』 人間関係に悩む方へ

f:id:Yama-Mikasa:20171224171053j:plain

 時代は戦国、主人公は豊臣秀吉です。試験知識の「太閤検地」や「刀狩り」などは一切出てきません。奴隷と言ってもいいくらいの極貧の家に生まれた少年が、一代で天下人となるまでの話です。秀吉目線でずっと描かれます。この本を座右の書としている経営者も多いです。長者番付の常連で多くの著作がある斎藤一人さんは、

「自分の本を読む前に、司馬遼太郎の『太閤記』を7回読め」

と言っています。また、人付き合いに悩む方にもおすすめです。秀吉が人間関係に悩む姿は、わたしたち凡人を楽にしてくれます。『燃えよ剣』と『太閤記』、甲乙つけがたいです。

3位 『世に棲む日日』 大奇人?大天才?とにかく普通じゃない2人

f:id:Yama-Mikasa:20171224215234j:plain

  時代は幕末、前半の主人公は吉田松陰、後半の主人公は高杉晋作です。吉田松陰といえば松下村塾を作り、倒幕に尽力した若者を数多く育てた教育者というイメージがありますが、それは吉田松陰の一面に過ぎません。松下村塾は、吉田松陰が若者を教えた場所というより、若者が吉田松陰から勝手に学んだ場所と言った方がいいでしょう。彼は、教育者というより偉大な思想家であり行動家です。

 高杉晋作と言えば、「奇兵隊」を作った人というイメージがあるでしょうが、これまた一面に過ぎません。「おもしろき こともなき世を おもしろく」は、高杉晋作のよんだ句です。この『世に棲む日日』では、高杉晋作がこの歌のような一騎がけの武者として描かれています。全4巻と少し長いですが一気に読めます。

4位 『国盗り物語』 信長協奏曲と同じ時代と登場人物!

f:id:Yama-Mikasa:20171224215558j:plain

  時代は戦国、前半の主人公は斎藤道三、後半の主人公は織田信長です。基本的なストーリーは、小栗旬くんのドラマ『信長協奏曲』とほぼ同じだと思ってください。柴田勝家、明智光秀、前田利家など織田信長の家来も出てきますし、もちろん豊臣秀吉も登場します。『信長協奏曲』では、水原希子さんが演じていた織田信長の妹「お市」も、絶世の美女として登場します。

 国「取り」ではなく、国「盗り」です。読めばわかります。エンタメとしてもおもしろいです。全4巻です。

5位 『最後の将軍』 天才 徳川慶喜の生涯

f:id:Yama-Mikasa:20171224222859p:plain

  時代は幕末、主人公は徳川慶喜です。大政奉還で有名な徳川幕府15代将軍です。幕末の動乱期を乗り切ることができなかったということで、どちらかというとひ弱、貧弱なイメージを持たれがちですが、実は違います。「家康の再来」とまで言われた人物です。日本の政治を合議制にする、そのメンバーには当然400万石の筆頭大名である自分が選ばれるはず、そういう思惑があっての大政奉還でしたが、相手方の大久保や西郷が一枚上手でした。ただ、大久保や西郷も余裕があったわけではありません。がけっぷちの攻防でした。

 この本を押す決め手は、司馬作品ではめずらしい「一冊もの」というところです。

 

 この『関ケ原』もおもしろいです。ただ、登場人物が多いのでここではあげませんでした。『太閤記』や『国盗り物語』の後にどうぞ。 

yama-mikasa.hatenablog.com

 『峠』も捨てがたいです。ただ、河井継之助の知名度が低いので外しました。『世に棲む日日』や『最後の将軍』の後にどうぞ。 

yama-mikasa.hatenablog.com