Aviciiの訃報を聞き、ショックを受けています。すぐには書く気が起きず、数日が経過してしまいました。
音楽というものは、本来大虚構であることをわたしたちは知らなければいけません。音楽は音楽自体として存在し、音楽自体にして高度の論理的結晶化を遂げるところに音楽の栄光があり、現実とはなんのかかわりもなく、現実とかかわりがないとうところに繰り返して言いますが、音楽の栄光があります。
ところが、彼の音楽は全く違いました。彼は、音楽と現実世界を融合し結晶化させた孤高の音楽家と言えるでしょう。
音楽の純度が高く、何度しぼっても枯れることなくいくらでも出てくる、そして、絞るたびに出てくるモノが違い、その都度、享受者であるわたしを勇気づける…。
「音楽には人を救う力がある」ということを伝える力をもつ数少ない人間のひとりだと思っています。わたしにとってはそうでした。
EDMという主にパーティーピーポーをターゲットにしているジャンルにありながら、軽々とその枠を飛び越えたミュージシャンです。わたしのような生粋のインドア人間の心をも掴んだのですから。
直接歌声を聴いたわけでもなく、姿を見たわけでもありません。ただ、彼が来日した際には、ひっそりとSNSをチェックし、ひとりヘッドフォンで彼の音楽に浸っていました。
内向的で地味で、どこか物悲しい孤高の天才、せつなくノスタルジック調のつらなり…。
おそらく二度と出ないかもしれないミュージシャンAviciiを突如うしなってしまったという悲しみに、どう耐えたらいいのでしょう。