読書生活 

本もときどき読みます

『かがみの孤城』の感想文 不登校児を勇気づける魅力的なファンタジー

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 かがみの孤城、500ページを越えるハードカバーで重さは514gで値段は約2000円。非力なわたしが気軽に持ち運びできる重さではなく、ヒラのサラリーマンが気軽に買える価格でもなく、いつも文庫のわたしがこの本を購入したのは、魔が差したとしか思えません。

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 不登校の女の子が鏡を通して別世界に行く。鏡の向こうには大きな城があり、そこには似たような境遇の男女7人が集められていた。狼の仮面を被ったホストが言う。城の中にある願いの部屋の鍵を見つけた者にはどんな願いもかなえてやる、と。

 中学生女子の視点で、教育問題や思春期の人間関係が具体的に語られています。学校の抱えている全体主義や同調圧力、そこで行われている友達同士のいざこざについての記述は目新しいものではなく、誰もがどこかで一度は耳にしたことがある、というより、似たような経験をお持ちの読者も多いでしょう。鏡の奥にある別の世界、という設定も、もうしわけないですが、こすられ倒された設定です。問題を抱える中学生の成長物語、中学生の朝読書にオススメか…と、先が見えてきて、そろそろやめようかと思いました。

 ところが、300ページ以降、物語はぐっとエッジを効かせて急展開を始めます。お?ん?え?と予想を裏切り続け、ラストへ突入です。

 

 アイデアが秀逸です。それを書くと完全にこの本を読む楽しみがなくなるので書けませんが。斬新なアイデアとは、ゼロから生み出すだけでなく、既存のモノに全く新しい視点を与えたり、誰もが考えなかった既存のモノ同士の組み合わせからも生まれるのだな、とあらためて思いました。「狼の物語」と聞いても、わたしは「オオカミ少年」しか思い浮かびません。ふだん嘘ばかりついているので、肝心なときにホントのことを言っても誰にも信用してもらえず狼に食べられてしまう悲しい少年の話です。

 

 映像が浮かんできます。映画化されたら見に行こうかな。

 

 不登校で悩んでいるあなた、その問題で悩んでいるのはあなただけじゃなく、また、あなたが思っている以上に、その何倍もいるのです。

 

 わたしは毎日鏡を見ています。自分の間抜け面ばかり見てないで、たまにはそこに映る別のモノを見てみようかな。ひょっとしたら、間抜け面の後ろの壁のシミが何かに見えてくるかもしれない。

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