読書生活 

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せめて言い訳ぐらいしろ。 

 人類は生き延びるために火を使い、言葉を作り、言い訳を発明した。言い訳は仕事をさぼりたいときや誘いを断りたいとき、便利に使える道具として重宝されてきた。もし、言い訳がなかったら、わたしのような言い訳使いのプロにとって、人生はもっと苦痛に満ちたモノとなっていただろう。

 言い訳を使うのは簡単だ。緊急性が高く、自分の力が及ばず、真偽を確かめにくいものを挙げればいい。

 例えば遅刻としたする。家族が病気になった、おじさん(じいちゃんでもいい。近すぎない親族でいい)が死んだ、道で倒れている破水した妊婦を病院に連れて行った、強盗事件を目撃して警察に証言していた、いくらでもある。

 どうせなら、遅刻より休む言い訳を考えた方が効率的だ。例えば、駅のホームで嘔吐したと言えば、誰でも近くで吐かれたくないから「今日は休め」と言ってくれる。しかも翌日は、診察を受けたらウィルス性の病気だったと言えば、誰でもうつされたくないから「しばらく休め」と言ってくれる。ほら、数日休める。

 

 これほど便利な道具を使うことに罪悪感を覚えて、使うことをためらう人がいる。正直に言えばいい、とか、嘘はどんな時もよくない、とかいう信念をもっているのだろう。

 だが、この世の中は厳格に動いているわけではない。どんなに細かく時間を決めても遅刻する人間は必ず現れ、約束は破られ、計画は狂い、締め切りは守られず、予報は外れ、意に反して死ぬのだ。そういう誤算があっても世の中ちゃんと動いている。何しろ不完全極まる人間が世の中を作っているのだ。だからこそ「人間だもの」というレベルの低い言い訳も通用するのだ。「人間だもの」って凄いな。

 

 何をこんなに興奮しているのかというと、人が嫌々幹事をしている社員旅行に不参加を表明する輩が多いのだ。いや、それはいいんだ。行きたくないのが普通だよ。休日になぜみなで旅行に行かなきゃならないんだっていう気持ち、わかる。不参加に〇しても、もちろんよい。

 ただ、言い訳くらいしてほしい。わたしが作ったその社員旅行アンケートの「参加・不参加」の欄に一言付け加えるんだよ。もちろんそこに「不参加の理由をお書きください」ってのはないよ。だけどね、そういう気持ちないのかね。「すみません、主人の両親の介護がありまして」とか「息子の学校行事と重なりまして」とか、そういうのないのか、こらぁ。「わたしは行きません」ってわざわざ書くって何だ!あほか!

 やりたくもない幹事を承り、アホなボスに行先の希望を聞き、日程の調整をして、日帰り東京旅行が決まったのが2週間前。今週に入り、すでに2人キャンセルが出た。でもいい。あなたたちはへたっぴながらも言い訳してくれたから。

 

 そのボスから今日呼び出された。なんの用かと行ってみると、「旅行の日、東京を台風が直撃するらしいぞ。どうする?」だって。知らんよ。そんなこと。あんた、人望はないのに不思議な力を持ってるねえ。台風って知らんよ。

 もういい。ボス、そんなの気にすんな。行こう、旅行に行こう、ボス。中型貸し切りバスだ。あんたの隣にはわたしが座ろう。あんたの希望通り、スーパードライをたんまりと買っといた。誰もあんたの隣には座りたがってないことも、キャンセルが今週に入って2人出ていることも、言わないのが優しさってもんだ。

 

 え?幹事の日頃の行いが悪いからだって?わたしの日頃の行いが災いを呼ぶのなら、台風どころじゃすまないよ。

 去年も幹事でした。そのときの記事がこちら。懐かしい。去年は山梨に行ったぞ。 

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上司の話はこちら。 

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