読書生活 

本もときどき読みます

「エモい」考

藤原道長の『望月の歌』からちょうど1000年 

 藤原道長のあの有名な歌、

「この世をば わが世とぞ思ふ 望月の欠けたることもなしと思へば」

 京都新聞によると、藤原道長が「望月の歌」を詠んだのは旧暦の1018年10月16日。2018年11月23日は旧暦の10月16日にあたるという。 

藤原道長が「この世をば…」詠んだ千年の満月 どう見える : 京都新聞

 なんとも夢のある話。この興奮を共感してもらいたく、職場の人間に伝えてもピンと来てない。と思ってたら、先日結婚したばかりの後輩が、

「エモいっすね」

だって。だろ?エモいだろ? 

 あ?わたし、はじめてエモいって言葉聞いたけど、確かにエモい!ちょうど1000年前の「望月の歌」はエモい!。不思議な感覚だ。はじめて聞いた知らない言葉を知っている気持ちになりました。

 ところでエモいって何?

エモい 

Wikipediaによると

英語の「emotional」を由来とした、「感情が動かされた状態」、「感情が高まって強く訴えかける心の動き」などを意味する日本語の形容詞。感情が揺さぶられたときや、気持ちをストレートに表現できないとき、「哀愁を帯びた様」などに用いられる。また、現代若者に使われる用語である 。

だそうです。

 さらに付け加えると、

使うシーンとしては「ぐっと来た瞬間、感動した瞬間」53%、「『ヤバい』の代用」20%、「悲しい、寂しいなど暗い感情のとき」10%であり、「言葉にできない絶妙な感情を表現する目的で、これまでの『ヤバい』と似た使われ方をしている」との指摘がなされている

 なるほどねえ。

 若者用語である「エモい」を、若者に聞いたらこう答えている、というこの事実にああだこうだと言うのはおかしいのですが、少し違和感があるんですよね。「ぐっとくる、感動する、悲しい、さびしい」どれもピンとこない。少なくとも、わたしが望月の歌(ちょうど1000年)に感じたエモさではない。

 感動=エモいなら、「結婚してください」と言われたらエモいことになる。

 悲しい=エモいなら、「好きな人ができたから別れてください」と言われたらエモいことになる。

 そうなの?これ、エモいの?わたしのエモいと全然違うんですけど。

わたし的「エモい」  

 大阪城に行ったときは、今考えたらエモかった。鹿児島の西郷洞窟は、今思い返してもエモくなかった。知覧も全くエモくなかった。

 わたしの「エモい」は、遠く離れた場所や時間に人の暖かい気配を察した時にやってくる感情…かな?人の暖かい気配、気配?もっといい言葉ありそうだなあ。でも、暖かいは合ってる。

 もちろん今の大阪城は徳川が再建した城であることは知ってますが、わたしにとっての大阪城は、秀吉が建てた豪華絢爛な日本一の城なのでエモい。わたしの大好きな秀吉がご機嫌に建てた城なのでエモい。

 西郷洞窟や知覧は悲しい出来事であり(もちろんわたしにとって)、エモくない。どうだろう、伝わりますかね。

 もちろん、わたしの知識や感情に左右されます。箱根の関所跡もエモい。ですが、そこで処刑された多くの人に思いをはせたらエモくなくなる。

 

 昨日、テレ朝の「ポツンと一軒家」を見ました。そこに70年前?のダムに沈む村が沈む前に撮られたカラー映像が流れました。そこには、のちに沈む村で生き生きと生活する人々が映っていました。ぐっときた。すごくエモかった。

www.yama-mikasa.com 

www.yama-mikasa.com 

www.yama-mikasa.com