読書生活 

本もときどき読みます

2017-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『たそがれ清兵衛』藤沢周平

「たそがれ」とか「うらなり」とか「だんまり」とかあだ名される冴えない男が主役。強さと情けを備えた魅力的な男であるギャップがかっこいいです。 どの短編集も、主人公の周りの人間の出世欲が凄い。対立軸がはっきりして、主人公のさえなさ加減が浮き出て…

肉体的コンプレックス

物心ついた時から、わたしは背が低かった。小学校は6年間ずっと先頭でした。「前へならえ」で、わたしは手を挙げたことがありませんでした。前にならったことがありません。わたしは前へならわず、いつも、みんなからならわれる「前」でした。 中学でも変わ…

読書のすすめ 未来形の読書術「石原千秋」

どうして読書をした方がいいの? 先月だったか、「大学生の読書離れが進む」というような記事がありました。 記事によると、 1日の読書時間が「ゼロ」と回答したのは49.1%で、現在の方法で調査を始めた2004年以降、最も高かった。平均時間も24.4分(前年比4…

社説読み比べ

病院に行きました。待合室で新聞を読みました。読売新聞でした。我が家は朝日新聞なので、興味深く社説を読み驚きました。 www.yomiuri.co.jp 見出しは「非科学的な地裁決定が覆った」とあり、読むと、 大津地裁は、関電による説明が不十分だと決めつけ、運…

駐車場にて

昨日のこと。 近所のスーパーが混んでいました。 駐車場も満杯で、駐車待ちの車で10台ほどの列ができていました。 前の車に続いて、駐車場内にどんどん進みます。 すると、私が運転している車の左横に駐車していた車に、買い物を終えた人が戻ってきました。 …

原子力発電所はいらない

いまさらですが、原発はいらないと思います。 国や企業は原発をなくしたくないようです。小熊英二さんは、「社会を変えるには」でこう言っています。 原発をやめると決めれば、一基二千億円から五千億円ほどの施設が、維持費と廃炉費用だけがかかる不良債権…

自分にあった仕事って

www.asahi.com もうすぐ4月、初出勤の人もいるでしょう。今頃ドキドキしているのかな? 山口智子さんが、いいこと言ってます。この記事は、「国際女性デー」特集で、女性へのメッセージになっていますが、新社会人のみなさんにも通じることがあります。 「最…

美の最終形態 「モンスター」百田尚樹

田舎町でレストランを経営する絶世の美女・未帆。彼女の顔はかつて畸形的なまでに酷かった。周囲からバケモノ扱いされる悲惨な日々。思い悩んだ末にある事件を起こし、町を追われた未帆は、整形手術に目覚め、莫大な金額をかけ完璧な美人に変身を遂げる。そ…

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猿は言葉を話せるのか 「言語の脳科学」酒井邦嘉

猿に限らず、動物は言葉を話せるか、という問題はとても興味深いです。わたしも猫を飼っているのですが、言葉を話せたらいいな、といつも思っています。しかし、この本を読む限りでは、猫はおろか猿も人間のように言葉を話すことはできそうにありません。 動…

本をすすめる間柄

以前、こんなことを書きました。 人から本をすすめられて、その本を読み始めたとしても、私にとってはたいていおもしろくない本のことが多い。途中で投げ出したくなるけれど、すすめてくれた方が感想を待っているので最後まで読まなければならない。それが苦…

籠池理事長と吉田松陰 「世に棲む日々」司馬遼太郎

今朝の新聞(朝日H29.3.24)を見ました。 記事によると、 「~籠池氏は敬愛する幕末の思想家吉田松陰にも言及。設立予定だった小学校の名に首相の名を付そうとした理由を語った。「松下村塾が念頭にありました。同じ長州出身で以前から教育理念に共感してい…

ひとりでは生きていけないという幸せ 

CMで使われている言葉です。 「ひとりでは生きていけないという幸せ」 うまいこといいますね。 「自分のことは自分でできるようになりなさい」 「責任の所在をはっきりさせなさい」 「人に甘えるな」 子どもの頃からこういう言葉をさんざん聞かされてきま…

自殺をしてはいけない理由 「手紙」東野圭吾

あらすじ 犯罪加害者の兄と弟の「手紙」のやりとり なぜ人を殺してはいけないのか なぜ自殺をしてはいけないのか 自殺がいけない理由 人を殺してはいけない理由 あらすじ 犯罪加害者の兄と弟の「手紙」のやりとり 強盗殺人の罪で服役中の兄、剛志。弟・直貴…

籠池理事長 証人喚問

証人喚問まであとわずか 当初、安倍さんは森友への国有地払下げや学校認可について、「自分も昭恵さんも何ら一切関与したことはない。もしそんな事実があったら議員も首相を辞める」と早々と発言しました。 私も、安倍さんはそんな口利きしていないと思いま…

自殺 生きるのがつらい

新聞に出ていました。成人の4人に1人が「自殺したい」と考えたことがあるとのこと。 全国20歳以上の男女3千人を対象に実施。23.6%が「本気で自殺したいと考えたことがある」とのこと。 自殺をどう乗り越えたのかを聞いたところ、「趣味や仕事で気を紛…

戦争の傷跡 「ゼロの焦点」松本清張

縁談を受け、十歳年上の鵜原憲一と結婚した禎子。本店勤めの辞令が下りた夫は、新婚旅行から戻ってすぐに、引き継ぎのため、前任地の金沢へ旅立った。一週間の予定をすぎても戻らない夫を探しに、禎子は金沢へ足を向ける。北陸の灰色の空の下、行方を尋ね歩…

書評家ってどうしようもない 「夢を売る男」百田尚樹

輝かしい自分史を残したい団塊世代の男。スティーブジョブスに憧れるフリーター。自慢の教育論を発表したい主婦。本の出版を夢見る彼らに丸栄社の敏腕編集長・牛河原は「いつもの提案」を持ちかける。「現代では、夢を見るには金がいるんだ」。牛河原がそう…

桜 「家守綺譚」梨木香歩

桜の季節になりました 百年前、天地自然の「気」たちと、文明の進歩とやらに今一つ棹さしかねてる新米精神労働者の「私」=綿貫征四郎と、庭付き家つき電灯つき二階屋との、のびやかな交歓の記録である 不思議な世界が広がっています。とにかく美しい。私は…

嫌婚男子とは

結婚しようとしない男 テレビで今見ました。 彼女とお付き合いはしたいが、結婚はしたくない男がいるらしい。タイミングが来たら結婚する、一人前になったら結婚する、そう言って結婚を先延ばしにするらしい。 なるほど。 結婚は自分に向かないと思っている…

人に心を開くとき 「北斗」石田衣良

これはおもしろい 先日、新作ではないのに本屋に平積みされていて驚きました。ドラマ化されるようです。地上波でないのが本当に残念です。帯に北斗役の子の写真が出ていました。額に傷があります。至高(父)からドライバーでやられました。 両親から激しい…

読書の仕方

読書 8か条 ①お金を惜しまず本を買う 基本的に、文庫本は安いです。 値段の割に、一冊の本に含まれている情報は多いです。 その情報を他の手段で入手しようと思ったら、その何倍のコストがかかります。 ②一つのテーマについて、一冊の本で満足せず、必ず類…

信長や秀吉が将軍にならなかったのはなぜ?「この国のかたち 一」司馬遼太郎

小学生の頃から疑問に思っていました。 「秀吉は天下統一を果たしたのに、どうして将軍にならなかったのか」 信長は、天下統一目前で明智光秀に殺されたから将軍にはなれなかった(と、小学生のわたしは思っていました)。でも、秀吉はなぜ将軍にならなかっ…

「さまよう刃」 東野圭吾

強姦 許せない犯罪 長峰の一人娘、絵摩(15)が行方不明となります。数日後、荒川で死体となって発見されます。花火大会の帰りに、未成年の少年グループによって蹂躙された末の遺棄でした。何者か(共犯者)から密告電話がかかってきます。 実行犯は二人、名…

トランプ大統領の怖さ 「障害と子どもたちの生きるかたち」 浜田寿美男

迫る全体主義 多様な文化が共生できる社会を 「多様な文化が共生できる社会をともに目ざそう」と呼びかける名著。 障害をありのままに受け入れ、障害を一つの生きるかたちと考え、一つの文化として捉えることはできないか、筆者の浜田さんは、私たちにそう投…

稲田さんはアウトだ

「10年ほど前から会っていない」だと? 世間を賑わせている森友学園問題。森友学園理事長の籠池さんとの関係を問われた稲田さんは、13日に 「10年ほど前から、もう全くお会いしていないし、関係を絶っているんです」 と答えています。稲田さんが籠池さんの顧…

テロと特攻の違い 「永遠の0」百田尚樹

娘に会うまでは死ねない 「娘に会うまでは死ねない。妻との約束を守るために」 そう言い続けた男は、なぜ自ら零戦に乗り命を落としたのか。終戦から60年目の夏、健太郎は死んだ祖父の生涯を調べていた。天才だが臆病者。想像と違う人物像に戸惑いつつも、一…

土方歳三 「一刀斎夢録(下)」浅田次郎

死んで神となった 土方歳三 沖田、土方、近藤ら仲間たちとの永訣。土方の遺影を託された少年・市村鉄之助はどこに消えたのか。維新後、警視庁に奉職した斎藤一は抜刀隊として西南戦争に赴く。運命のち・竹田で彼を待っていた驚愕の光景とは。百の命を奪った…

東日本大震災

「ママがそばにいなくて寂しくないですか?」 「ママがそばにいなくて寂しくないですか?お友達とは仲良く一緒に遊んでますか?ちゃんとご飯を食べていますか?」 6才で命を落とした娘に向け、母親が書いた手紙です。今朝の朝日新聞に出ていました。 私には…

天才とは 「一刀斎夢録(上)」浅田次郎

天才とは 沖田総司 「飲むほどに酔うほどに、かつて奪った命の記憶が蘇る」 最強と謳われ恐れられた、新選組三番隊長斎藤一。明治を隔て大正の世まで生き延びた「一刀斎」が近衛師団の若き中尉に夜ごと語る、過ぎにし幕末の動乱、新選組の辿った運命、そして…