読書生活 

本もときどき読みます

2017-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『海の史劇』 吉村昭

戦前の日本の評判がよくありません。特に、昭和初期から太平洋戦争敗戦に至るまでの、日本の外交や戦略の酷さは目を覆いたくなるほどです。しかし、この『海の史劇』を読むと、これが太平洋戦争を引き起こしたあの日本と同じ国なのか、と首をひねりたくなる…

没後20年 司馬遼太郎展「21世紀 未来の街角で」

わくわくがとまらないぞ。 今日、妻と横浜そごうに行きました。全く価値観の異なる二人、横浜に着いたら別れ、数時間後に本屋で待ち合わせというパターンが多いです。今日もそのコースで待ち合わせ、横浜そごうで夕食用の弁当を買いました。そごうの出口にそ…

イチローも言ってるぞ!仕事は辛いんだ。『会社に行きたくないと思った時に読む本~心が軽くなる言葉90~』

「仕事は嫌なものなのだ」という持論をこのブログで展開しています。 yama-mikasa.hatenablog.com ところが、仕事にやりがいを求める人がいるのも事実でして… yama-mikasa.hatenablog.com 今日、コンビニで『会社に行きたくないと思った時に読む本~心が軽く…

なぜ、有吉さんやマツコさんは炎上しないのか?

ネットで炎上する有名人が多いようです。古くは、テレビ番組「逃走中」で自首し賞金を手にしたドランクドラゴンの鈴木さん。最近は、不倫をすっぱ抜かれて政界進出を断念した乙武さんなど。 しかし、世間には毒舌でありながらあまり炎上しない有名人もいます…

句読点を打つ場所 句読点の打ち方

いつも文章を書くとき悩みます。どこに点をうったらいいのかな、と。うまい方法を調べてみましたが、決定打にかけます。 近現代文学専攻の石原さんは、 点は文節ごとにうつものではなく、意味のまとまりごとにうつものだ。 と言います(『大学生のための論文…

「君が代」が国歌になるまで 『司馬遼太郎の考えたこと 4』司馬遼太郎

内田樹さんの本で、このような記述を見ました(『日本辺境論』)。 国家は儀礼上必要欠くべからざるものです。「君が代」の歌詞も古歌のうちからなかなかよいものを選択したと思っています。旋律についてはどうしてこんな旋律になったのか経緯を教えてもらえ…

三島由紀夫の自決について、司馬遼太郎が思ったこと 。『司馬遼太郎が考えたこと 5』司馬遼太郎

司馬遼太郎(1923 - 1996)と三島由紀夫(1925 - 1970)、ともに日本を代表する作家です。司馬は多くの歴史小説を通じて「国民作家」と言われるまでになった大作家であり、三島由紀夫もノーベル文学賞候補にもなった作家であり思想家です。 同年代を生きた作…

誰でも書ける!読書感想文の書き方 『必ず書ける あなうめ読書感想文』

読書感想文が嫌いでした。本を読むのは好きなので、夏休みに入る前には毎年読み終わっていたのですが、夏休み最終日になっても、読書感想文用の原稿用紙は白いまま。毎年でした。 あれから30年たちましたが、世の中には読書感想文という悪習がいまだに残って…

他者からの評価を仕事の目的にしてはいけません 『下流志向』内田樹

仕事に対する不満がたまっていた時期がありました。こんなはずじゃなかった、もっとやりがいのある仕事だと思っていた、そういう些末なものです。この思いにずいぶん苦しめられましたが、ある本を読み少し気が楽になりました。内田樹さんの『下流志向』とい…

『友達以上不倫未満』ってなんなんだ  恋に憧れるお母さんへ 『友達以上不倫未満』秋山謙一郎

浮気でなく本気、しかし決して男女の関係は持たない−そんな大人のプラトニック・ラブな紺外関係「背感ド・パートナー〉の実態を徹底取材。数々の赤裸々なケースが、男女間の愛と嫉妬の原理をもあぶりだす問題作。 だそうです。『友達以上不倫未満』秋山謙一…

読書はしないといけないの?2

朝日新聞(3月8日)の読者欄に、「読書はしないといけないの?」という大学生からの投稿が掲載されました。この投稿がとても気になり、わたしなりの読書に対する考え方をこのブログに書きました。 yama-mikasa.hatenablog.com この大学生からの投稿には、…

「思う」の言い換え方。「思う」はこうやって言い換えよう。 上手な文章の書き方

「思う」を文末に使うのはどうでしょう 文末を「思う」で締めるのはよくないと聞きます。「思う」は腰の引けた表現だ、「思う」は無責任な表現だ、と言われます。「思う」ではなく「です」や「ます」を使うようにハウツー本には書いてあります。今回は、この…

私の「せっかち」は遺伝でした。年を取れば取るほど、距離を置いているにもかかわらず親に似てくる。 

昔からせっかちで、人を待つのも待たせるのも嫌いです。私の周りにはのんびり屋さんが多く、いらいらすることばかりです。特に妻はのんびりでマイペース。彼女と結婚して15年以上たちますが、彼女を待っている時間の総量は凝縮すると私の人生の中の2年く…

下駄箱に下駄は入れないし、筆箱に筆は入れない

息子の授業参観での出来事です。新規採用の若い先生が、後ろで立っている親に向かって「父兄の皆さん」と声をかけたところ、親の一人が「先生、父兄ではなく保護者ですよ」と言い返したとのこと。 険悪なムードになったわけでなし、そのお母さんも陽気で明る…

「教育勅語を学校でどう扱ったらいいのか」について、各新聞社の主張を比較してみました

「教育勅語」問題について、安倍政権は先月「憲法や教育基本法等に反しない形で(道徳授業の)教材として用いることまでは否定されない」としました。 このことに朝日新聞が嚙みつきました。 www.asahi.com ざっとまとめると、 教育勅語は、憲法が定める主権…

仕事に行きたくないという方へ 『下流志向』内田樹

会議で競争心まる出しの同僚に年若の前で反論される。きれどころのわからない上司の逆鱗に触れ、大勢の前で怒鳴られる。結論を常に先送りにする、あなたはほんとにその気があるの?と思わずにはいられない取引先。入社以降一切笑顔を見せない向かいの席の新…

「自分は変わり者です」という人は自分が好き

自称変わり者 自称「変わり者」はたくさんいます。この場合の「変わり者」とは、正確に言えば「自分を変わり者だと信じている人」です。 「わたしってちょっと変わっているんです」 自分をこのように表現する人は多いです。自分は変わり者で、ふつうと少し違…

書評を上手に書く方法 『未来形の読書術』石原千秋

「読書生活」などというブログを書いているくせに、書評が上手に書けません。「書いてあることを自分のフィルターを通して語る」これがよい書評だと思って書いていました。この「自分のフィルター」が書評の出来を左右する、と思って書いているのですが、わ…

秀吉と継之助と土方 歴史物が好きなわけ 

歴史物が私は好きです。 最初は面倒で分からない点もありますが、読み進めるうちに粛然としてそこに人物を見つけることがあります。その瞬間が楽しみで仕方がありません。「粛然と人物を見つける」というのは、「知っている」とか「覚えている」とか、そうい…

「12-5」を頭の中でどうやって計算していますか?

いきなりですが、みなさんは、12-5をどうやって計算していますか?ほとんどの人は一瞬で「7」と出ると思います。暗記していますよね。無理矢理考えたらどうなるか、お聞きします。ではいきますよ。 ①12からまず2を引き、12-2は10。10から残…

眼鏡を外すと別人になる。

眼鏡は口以上にモノを言う。 「メイプル超合金」の、安藤なつがテレビに出ていました。彼女のおでこにプルンプルンのゼリーを乗せて、顔の筋肉を動かしてゼリーを移動させ、口に入れたら成功というよくわからないチャレンジに挑戦するところでした。そのチャ…

新右衛門さんはもういないのか?

明治政府は、10年間という短期間でヨーロッパの文明を日本に無理矢理移植しました。廃藩置県、学制、徴兵令…。その中の一つに、四民平等がありました。武士も町民も農民もなし、みんな同じ、というアレです。今まで限られた人間にしか許されなかった姓(苗…

立ち上がらければいけない時は、立ち上がらなければいけません

私はそんなに怒りっぽい方ではありませんが、人間ですからたまにはドカンとしたくなる時もあります。でも、いい年したおじさんや老人が激高する姿は、見ていて気持ちのよいものではありません。 『「怒り」を消す』という題につられて、備瀬哲弘さんの『精神…

読書はしないといけないの?

先月、「大学生の読書時間0分が5割に」というニュースがありました。 www.asahi.com この記事に対し、「読書はしないといけないの?」という投稿が朝日新聞に掲載されました。 朝日新聞の読者欄には「みなさんはどう思いますか?」というような、他の読者へ…

無人島から戻ってきたら、妻が他の男と結婚していた。

江戸時代、土佐を出た船が漂流し、とある島にたどり着きます。その島の名は鳥島。東京から600キロ離れた無人島です。船は大破し脱出できず、見渡す限り青い海。船は一艘も見えません。仲間は3人。 アホウドリが主食となりました。羽を広げると2mにもなる大…

今の日本は民主主義の成熟度が試されている 司馬遼太郎と三島由紀夫が1960年代の学生運動を見て感じたこと 

本を読んでいると、「あれ、これどこかで読んだことあるな」と思うことがよくあります。記憶をたどりつつ本棚をあさると、それは大抵同じ作家の場合が多いです。まれに、同じことを別の作家さんが書いていることがあります。そういうとき、井戸を掘っていた…

「忖度」が悪いわけではなくて、首相夫人が私立学校の名誉校長になったことが問題なのだ

www.asahi.com 「他人の心中をおしはかること」これは、問題だと思うか(悪いことだと思うか)と聞かれたら、大半の方が、問題だとは思わない(悪いことだと思わない)と答えると思います。私も、そう思います。 この一連の森友学園騒動で、初めて私は「忖度…

読みやすい論文を書くコツ 「大学生の論文執筆法」石原千秋

本を読め。 読者の気をひくような題をつけろ! いきなり本文に入れ。話題を変えている場合ではない! ホッチキスは右上に止めろ 論文で使ってはいけない言葉 文章の書き方のハウツー本かと思って読んでみたのですが、癖が強い(笑)!。大学教授である石原さ…

「寧為鶏口、無為牛後」 かっこいい言葉

寧(むし)ろ鶏口(けいこう)と為(な)るも牛後(ぎゅうご)と為(な)る無(な)かれ 中国のことわざ、格言です。「牛のお尻より、鳥の口となるほうがいい」というのですが、「大きな組織の末端よりも、小さな組織のトップになりなさい」という意味のよう…

新年度初出勤の朝   

地下鉄に乗りました。意外に空いていました。その車両の乗客はたった二人、私の前には初老の女性が一人座っているだけでした。発車のベルが鳴り、鞄から読みかけの本を取り出そうとしたとき、一人の女性があわてて駆け込んできました。そして、ふうっとため…