戦争と沖縄
一少年兵の始点から、沖縄戦を捉えた物語です。
徹底した虫瞰視点の描写によって、現実の沖縄戦を垣間見ることができます。
沖縄を守るために命を懸けて敵を倒そうと意気込んでいた少年が、わずか二か月で一瞬の死をのぞむようになります。
とにかく凄惨です。
腐敗、膿汁、蛆、蠅、虱、排泄物、汚物、飛び散る内臓、めくれる顔…。
まだ14歳。
子どもじゃないか。何ということだ!
周知の通り、戦後、沖縄は米軍支配の時代を迎えます。
沖縄返還によって、沖縄は日本の一つの県となりました。
ですが、アメリカの軍事戦略の拠点としての沖縄の実態は、なんら変わることはありませんでした。
さらに、日本となった沖縄には、自衛隊も配備されるようになりました。
沖縄返還は、日米軍事同盟の要としての沖縄を日本に組み込むことに他なりませんでした。
そして、現在、沖縄は高度な軍事的機能をもった新基地建設問題に直面しています。