声をあげることの大切さ
大震災後、首相官邸前で、国会議事堂前で、原子力発電所の前で、何十万人もの人たちが集まって、デモが行われました。アメリカでは、新大統領を批判するデモが行われているようです。たいていの人は、
「こんなことをしてもなにも変わらないのに」
と思っているのではないでしょうか。
著者の小熊さんは、
「社会を動かすのは選挙だけではない。デモでも社会は変わる」
そういいます。
「デモをする社会」の可能性を探った本です。
民主主義とは何か、政治とは何か、をその宗教的な起源にまでさかのぼって説明しています。小熊さんは、
「代議制民主主義は、たかだか数百年前に成立した、政治の一形態に過ぎないのだ」
といいます。
また、
「参加者みんなが生き生きとしていて、思わず参加したくなる。〈まつりごと〉が民主主義の原点だ。自分たちが超えたものを〈代表〉していると感じられるときは、人は生き生きとする」
といいます。
さらに、
「動くこと、活動すること、他人と共に社会を作ること、は楽しいことだ」
ともいいます。
声をあげようということです。
誰かが新しい社会を作ってくれるのを待つのではなく、「社会を作る」プロセスの一つ一つが、自分を変え、それにかかわる相手を変えてゆく、そして、変わってゆくことは楽しい、と人々が知ったとき、そこに「人がデモをする社会」が生まれてくるように思います。
この本、難しそうなことをとても易しい文章で書いてあり、中学生でも理解できると思います。
一つ難点は、凄まじい厚さで手に持ちづらいことです。