いまさらですが、原発はいらないと思います。
国や企業は原発をなくしたくないようです。小熊英二さんは、「社会を変えるには」でこう言っています。
原発をやめると決めれば、一基二千億円から五千億円ほどの施設が、維持費と廃炉費用だけがかかる不良債権になってしまいます。廃炉費用の積立も不足しています。逆に動かせば、電力が売れて「一日一億円」とも言われるほど利益が出ます。建設費用の減価償却がすんだ古い原発の方が、動かして電気を売れば純粋に利益があがります。三千億円の原発も、三千日、要は九年ほどで元が取れ、後はひたすらもうけるのみです。だから再稼働したい、耐用年数も延長して永遠に動かしたい、建設中のものも完成させて営業運転したい、となりがちです。また、電力会社が倒産したり業績悪化したりすれば、電力会社に何兆円も融資した銀行は貸したお金を回収できず、電力会社の社債や株を買った保険会社などは巨大な損失をこうむります。原子炉製造施設に投資したメーカー、国策として推進してきた責任を問われたくない官庁なども「いまさらやめられない」と考えるでしょう。
でもね、福島見たでしょう。事故があったら、国土が失われるんですよ。「喉元過ぎれば~」にしたって、まだ喉元過ぎるほど時間はたっていません。「千年に一度」の規模の地震であり、次はそう簡単には起きない、ということなのでしょうか?あの地震であれだけの被害を出した日本が「原発を動かす」という方針なら、もうこれから先どんなことがあっても原発ゼロという方向に舵をとることはないでしょう。
小熊さんは、原発についてこう続けます。
もはや原発は、経済的にみれば政策と投資の失敗から生じた一種の不良債権です。このままずるずると続けても、将来性のない事業に金をつぎいこむ無策に過ぎません。第一、廃棄物の貯蔵先がないのに何十基も原発を再稼働しても、いまの貯蔵先の容量を考えると数年しか続きません。いまから新規に廃棄物の貯蔵先や最終処分を引き受ける自治体があるのでしょうか。
全く同感です。原発を動かそうとする国の方針が本当に不思議でなりません。自民党が原発廃炉を宣言しないなら、他の政党に託すしかありませんが、自民党に凄まじい差をつけられているものの野党第一党の民進党も、原発ゼロを打ち出せない。自分たちの既得権益を守るために、雇用主と一緒になって原発を容認する電力労組とその上部団体の連合。そうした支持母体を説得できずに右往左往しています。
前の失敗は大目にみます。「国政に慣れていなかった」それで構いません。私だって頭に来てますし、忘れてはいません。けど、仕方がない。あなた方しかいないのですから。そう思って背中を押そうと思っても、当の本人たちが前に進もうとしません。しっかりしてほしい、そう思います。