『九十歳、何がめでたい』という本が売れています。
黒柳徹子さん、瀬戸内寂聴さん、冨士眞奈美さん、安藤優子さん、辻村深月さんも、みなさん笑って泣いて大絶賛。
御年九十二歳、もはや満身創痍。愛子センセイが放つ「いちいちうるせえ」ほか怒りの書
この本、おもしろいんですよ。年齢を重ねた方は角がとれ穏やかになっていく、そういうイメージがありますが、そんな常識を打ち破る著者の佐藤さん。
今回書きたいのは、この本のことではありません。朝日新聞の広告欄を見ていたら、目を引くものがありました。
自費出版。それは最高の自己表現です。
続けます。
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うさんくさい。百田さんのあの作品を読んで以来、こういう話が信じられません。
その下に、「5月上旬発刊予定!」として3点が写真付きで出ています。どれもうさんくさいのですが、その中で最もうさんくさい作品を紹介します。
『その先私は知らんぷり よめる・ほほえむ・不思議だね』
92歳の書家が語るユーモア自詠作品集。独自の書体による、見て楽しく、読んでも楽しい未体験の書の世界をお楽しみ下さい。
「これを読んでクスッとしなければ、老化が進んでいる証拠ですよ」(著者の言葉)
『九十歳、何がめでたい』と同じく超高齢者の本です。写真をここにあげる技術が私にないのが本当に悔しい。著者と思われるおじいちゃんが、満面の笑みでこちらを見ています。うそでしょう。おじいちゃん、騙されてないですか?いくら出したんですか?「クスッと」笑っているのは出版社じゃないですか?(著者の言葉)って、おじいちゃん、どういうこと?
別の日に本屋に行きました。すると、冒頭にあげた『九十歳、何がめでたい』の隣にずらりとこんな本が並んでいました。
『100歳の精神科医が見つけた心の匙加減』
『さっぱりと欲ばらず~99歳、ご機嫌です~』
『103歳になってわかったこと~いつ死んでもいい、なんて嘘。生きているかぎり人間は未完成~』
まだまだありました。驚きです。生きていること自体がすごいことなのに、本を書き出版するなんて。これら90歳以上の方の本を「仙人本」と私は名付けました。新聞広告にあった『その先私は知らんぷり~』ももしかしたら売れるかもしれません。複雑な気持ちです。日本の出版業界も行き着くところまで来たな、と。
とりあえず『その先私は知らんぷり~』が店頭に並ぶのか、三省堂を中心に注目してみます。見つけた方は連絡ください。