本多勝一『日本語の作文技術』から学ぶ
『日本語の作文技術』という本があります。40年以上前に、朝日新聞の記者だった本多勝一さんが書いたものです。
一度読んだことがあるはずなのに、今読んでも「目からウロコ」な作文技術がぎっしりつまっています。たぶん、読み流してわかったつもりになっていたんです。
勉強の意味を込め、熟読し、このブログに少しずつ書いていきたいと思います。
自分自身が理解したいので、わたしの言葉で書き直します。もしも「意味がわからない」という場合は『日本語の作文技術』をお読み下さい。
修飾する語と修飾される語をくっつけろ!
修飾する語と修飾される語が離れている例①
わかりにくい文章を見ると、修飾する語と修飾される語がはなれていることが多いです。極端な例をあげます。
私は小林が中村がいたと証言したのかと思った。
この文章、わかりにくいですよね。その理由は、複数の修飾する語と修飾される語があり、それが離れているからです。色をつけて確認してみましょう。
私は小林が中村がいたと証言したのかと思った。
こうなっています。
修飾する語と修飾される語は3組あります。
1「私は‥思った」
2「小林が‥証言したのかと」
3「中村がいたと」
この3つです。そのうち、3の「中村がいたと」は修飾する語と修飾される語がくっついています。しかし、1の「私は‥思った」と2の「小林が‥証言した」は、修飾する語と修飾される語が離れています。これをくっつけてみましょう。
中村がいたと小林が証言したのかと私は思った。
先の「私は小林が中村がいたと証言したのかと思った」と比べると、わかりやすくなったと思いませんか?中村がいた、の部分に「」をつけると、もっとよくなる文章です。しかし、少なくとも位置を変えるだけの操作で、かなりスムーズになりました。
修飾する語と修飾される語が離れている例②
こういう文章はいくらでもあります。朝日新聞の社会面からです。
2日未明、東京都三鷹市のマンションで、部屋に充満していたプロパンガスが爆破して4人が重傷、32人が飛び散ったガラスの破片などで1~2週間のけがをした。
特別にわかりにくくはありませんが、それでも、「32人が飛び散った~」のところは一瞬まごつきます。それはなぜかというと、修飾する語と修飾される語が離れているからです。先ほどと同じように、修飾する語と修飾される語の組を色をつけて確認してみましょう。
2日未明、東京都三鷹市のマンションで、部屋に充満していたプロパンガスが爆破して4人が重傷、32人が飛び散ったガラスの破片などで1~2週間のけがをした。
1「4人が重傷」
2「32人が‥1~2週間のけがをした」
この2つがあります。1の「4人が重傷」はくっついています。しかし、2の「32人が‥1~2週間のけがをした」が離れています。これをくっつけてみましょう。
2日未明、東京都三鷹市のマンションで、部屋に充満していたプロパンガスが爆破して4人が重傷、飛び散ったガラスの破片などで32人が1~2週間のけがをした。
さきほどの文章に比べて、ずいぶん読みやすくなりました。ただ、まだ不完全です。「1~2週間のけが」をした人はガラスの破片によるものですが、重傷の4人は何によるものかわかりません。爆風ということも考えられますが、「ガラスの破片など」とあるので、4人も「ガラスの破片など」で重傷を負ったと考えるのが自然です。
そこで、こう入れ変えます。
2日未明、東京都三鷹市のマンションで、部屋に充満していたプロパンガスが爆破して、飛び散ったガラスの破片などで4人が重傷、32人が1~2週間のけがをした。
2回書き換えました。わかりやすい!「基本は修飾する語と修飾される語をくっつける」です。
もう一度書きますね。今回の記事で押さえたい、わかりやすい文章の技術は、
「修飾する語と修飾される語をくっつける」です。
偉そうに書いてますが、もとは『日本語の作文技術』ですよ。