先日、仕事終わりに本屋に行きました。待ち合わせです。いつもぼろぼろの本ばかり読んでいるので、新品の本の感触がとても心地よい。真新しい文庫本は、断裁された部分のページ同士がかすかにくっついていることがあります。そのページをめくる瞬間小さくペリペリっと鳴る、あの感じが特にいい。あの音は最初にページを開いたときしかならないので、立ち読みですましているわたしが聞くのは本当に申し訳なく思います。ごめんなさい。
人を待つのはあまり得意ではないのですが、本は好きなので、待ち合わせをするときは本屋にしてもらっています。
ところが今日は何か落ち着かない。腰は痛くなるしおなかは空く。時間が長く感じます。本に集中できません。周囲を見渡して原因を探しました。わかりました。これです。これ。
「弟子にしてもらえませんか」
「ええよ」
「おい、トクナガ!とんでもない漫才思いついたぞ」
「お前、カミヤさんの影響受けすぎなんちゃうんか。カミヤさん別に売れる気ないんやぞ」
「お前にカミヤさんの何がわかるねん!」
この壮大な大会にも勝ち負けがちゃんとある。だからおもしろい。
映画『火花』
わたしの立ち位置の近くに小さいモニターがあって、そこでこれがひたすら繰り返されています。しかも結構ボリュームが大きい。本屋は図書館と違ってざわついています。静かな場所よりも電車の中や喫茶店のような、何か音がする環境が好きなのですが、これはだめです。ブログに書こうと思ってメモしました。
立ち読みをやめて映像を10回くらい見ました。なるほど、菅田将暉さんと浦島太郎か…。そのモニターの横に平積みされている『火花』。300万部って。しかも芥川賞。直木賞ではなく、芥川賞!もう文庫化されているんですね。
映画の宣伝だとは思いますが、「立ち読みやめて早く出ていけ」という圧力でもありますね、あれ。2~3時間いたらほんとに100回くらい聞くんじゃないかな?マックの椅子が硬いのは、長居させないためだと聞いたことがあります。それと同じです。
もう映画は公開されているようです。だからやたらといろんな雑誌に彼らが出ているのか。
ここで、一つ疑問が浮かびました。先の『火花』はお笑い芸人を描いているとのことです。漫才のネタって書いてあるのでしょうか?それ、おもしろいの?天才芸人を描くには、その天才の天才たるエピソードがないと説得力を持てないはずです。漫才の件を探そうと手に取ったところで待ち人が来てタイムアップです。
この映画はたぶん見に行きません。テレビでやるまで気長に待つぞ。