読書生活 

本もときどき読みます

福が来た。

 夏頃からずっと猫が気になっていました。何度かの家族会議を経て、縁のある猫がいたらわが家に迎え入れようということになりました。

 

 12月くらいからかなあ、週末は猫探しの旅に出ました。ペットショップに行ったら、かわいい猫がいました。価格を見ると45万円!(諸々含めると60万以上!)。もちろん血統書付きで、この子はお父さんがチャンピオン猫とのこと。「この値段を付けられる猫はそういませんよ」と、店員さんは岡田将生くんみたいな顔をした猫をわたしにだっこさせて言います。かわいいのですが違和感しかありません。わが家は雑種で全然かまわないのです。

 

 ペットはペットショップと思っていたのですが、調べるとそればかりではなさそうです。役所の掲示板、保護センター、ブリーダー、猫カフェ、様々なところに出会いの場はありました。

 

 別の日に、保護センターに行きました。殺風景なビルの中にある里親募集の会に参加しました。道端で捨てられていたところを保護、推定6カ月、とか、無人の家屋撤去中に発見、保護、とか、あと一週間!(処分までです)とか、という悲しい環境のもとにいた猫たちです。怯えた目でこちらを見ていました。ペットショップの猫とは大違いです。

 そこのセンターの方には、「猫を飼うのが初めてならここの猫は難しいかもしれない」というアドバイスをもらいました。なるほど…。暗い顔をしているわたしたちを見たからでしょうか、その方が「里親募集の猫カフェもありますよ」と教えてくれました。猫カフェ?聞いたことはありますが、行ったことありません。

 

 翌週、猫カフェに行ってみました。風俗街の一角にありました。入店して、アルコールで手を消毒し、席につきドリンクを頼み、店の方の説明を聞きました。

 みなさんは、猫カフェ、行ったことありますか?「うちの猫ちゃん」と写真が貼ってあり、「猫ちゃんが嫌いなこと」とか「猫ちゃんへの禁止行為」とか「人気ナンバーワン猫ちゃん」とか、まるで本当の風俗にきたような不思議な感じでした。

 猫部屋には20匹ほどの猫がいました。10畳くらいの部屋かなあ、カーペットが敷かれていて、半分はホットカーペットとなっています。そこに猫20匹がじっとうずくまっているわけです。これぞ猫、という感じです。すごく不思議な光景でした。

 先客が3名いました。猫と同じくずっと無言で座っています。無言の20匹猫と5人(家人と一緒でした)の人間…。その店の禁止行為に「だっこ」とありました。だっこがだめって、驚きました。「だっこ」がだめで「撫でる」のはOKですって。

 だっこがだめだからなでようとします。でも、逃げられるんですよ。追いかけまわしているわけではなくて、近くに座っている猫にそっと触れようとするだけで逃げる。常連の雰囲気を醸し出している先客さんを観察してみました。すると、じっとして膝の上に猫が来るのを待つ、そんな感じです。

 なるほど…。石のようにあぐらをかいて待つこと20分、やっと触らせてもらえました。猫カフェは30分が通常料金です。20分座ってただけですから、もちろん延長です。こういうところも風俗そっくり。

 猫部屋を出て、ドリンクを飲みながら猫カフェのお姉さんに話を聞きました。子どもの頃に厳しい環境に置かれた猫はなかなか人になつかない、2年かけて世話をしてようやく触らせてもらえた、なんてこともあるとのこと。寄ってくる猫はこの猫カフェの店員さんでした(里親募集の猫に対して、ずっとここに住んでいる猫を「店員」と呼ぶのです)。里親募集の猫はずっと人間からは距離を取っていました。

 

 今、わが家に家族が増えました。名前は「福」といいます。うちに引き取られたことがこの子にとって福となるように、そして、この子がわが家に福をもたらしてくれるように、そういう願いをこめて名付けました。

 福ちゃん、これからよろしくお願いします。いつか、写真も載せたいと思っています。買ったのにほとんど使っていない一眼レフで。