読書生活 

本もときどき読みます

『悪童 小説 寅次郎の告白』 山田洋次監督が書いた寅さんの自伝がおもしろい。 

 寅さん、よく見たなあ。何度もこのブログで言ってますけど、昔はよくテレビでやってたんですよ。どうして今テレビでやらないのか不思議に思います。調べてないので確かではないのですが、平成の30年で、寅さん一度もやってないんじゃないかな?

 

 荷物は鞄一つだけ。家も家族も金もありません。ないと言ったら語弊がありますね。帝釈天の団子屋は家ですし、家族は妹のさくらがいます。お金は電車にぎりぎり乗れるくらい、安宿に泊まるくらいある。

 寅さんは、なぜか人間関係のぎくしゃくしたところに立ち寄り、そのほつれた人間関係を修復し、秩序が回復されたと見ると黙って立ち去る。何も持たず、何も残さない寅さんの旅に、子どもの頃のわたしも憧れたものです。

 

 この『悪童』を読み、シリーズの半分は見てるわたしでも知らない寅さん情報を多く入手しました。映画では描かれていないエピソードも満載です。

 寅さんって、捨て子だったんですね。柴又の参道の団子屋の軒先に捨てられていたそうです。しかも、昭和11年の2月26日、あの226事件の日に。道楽者の父親と売れっ子芸者のお菊の間に生まれたのが寅で、京都に身売りするお菊が父親の家の前に置いていった。

 だから、妹のさくらとは母親が違います。でも、育ての母の光子ができた人で、寅さんをわが子同然に育てます。戦争に突入し、父親の平造が出征。平造の弟のあのおいちゃんとおばちゃんは3月10日の東京大空襲で家と子どもを失い、実家の団子屋に来ます。

 家族でよく見たなあ。アル中の父親と腹を抱えて見た。寅次郎と言われても「それ誰?」な世代ばかり。見たことない人はもったいないと思います。

 さあ、この年末に観るのだ。わたしのおススメは、第17作「寅次郎夕焼け小焼け」です。詳しい内容はこちらからどうぞ。 

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