読書生活 

本もときどき読みます

大腸検査の全てを余すところなく書く。

1 検査しないと言われても、初診から肛門に指を入れられる。

 前日に、検査はありますか?と聞くと「初診だからありませんよ」と言われます。行くと、症状(私は下血)や飲んでる薬などを聞かれたあと、「壁を向いて横になり、ベルトを緩め、膝を軽く抱えるようにしてください」と言われます。慣れた手つきでズボンとパンツをずらされ、肛門が晒されます。さらに器具を入れられて、写真を撮られます。私(50のおっさん)の場合、主治医は男性、補助する看護師2人は女性でした。検査後、私の肛門は画面に大きく映し出されます。もちろん、私以外の3人にも丸出しです。かなり情け無い気持ちになります。検査しないと言ってたのに、と思ったら、「痔ですね、検査ではっきりさせましょう」と先生に言われました。これらは肛門科の世界では検査とは言わないようです。紙とか付いてたら恥ずかしいのでメンテナンスしておくことをすすめます。どうしても気になるなら「検査しますか」などという曖昧な聞き方ではなく、「肛門を晒しますか」と聞きましょう。いずれ晒しますが、それがいつかはあなたにとって重要な問題です。撮った画像は頼めばすぐに消してくれます。私は見事なイボ痔だったので、待合室に飾っておいてほしいとお願いしました。若い女性はこの心理的ダメージに耐えられるのかしら。

2  検査前の2リットル下剤はかなりつらい。

 大腸を完全にキレイにするため、検査の5時間前から下剤を飲みます。私は鬱持ち便秘もちなので、毎週末下剤で全て出す生活をここ10年近く送っていますから、下剤については何の問題もない、と思っていたら、この下剤は違います。水と混ぜた2リットルの液体を数時間かけて飲み続けるのです。💩の写真付きの説明書によると、最初はこんな💩だけど、最後はこうなります、こうなったらOK!とありますが、その写真の💩が、不純物なしのレモネードなんです。そんな💩見たことない。ちなみにそのレモネードにクルトンが入っている写真が隣にあり、これだとダメ!と書いてあります。クルトンが不純物判定されるようです。

 私は11時検査なので、朝5時起きでまず1リットルゆっくり飲みます。一気に飲むな、と書いてあるのです。眠いしお腹は空くしまずい。薬(液体下剤1リットル)、水(500ml)、薬(液体下剤1リットル)、水(500ml)の繰り返しです。これを3時間くらいかけて飲みます。フードファイターの調整のようです。飲みきれない人もいるんじゃないかな。本を読む気にもなれず、映画「スターリングラード」を見ながら便意が来るのを待ちます。

 30分くらいすると噴火口に異変を感じるのでトイレに。ただ、まさに💩。これがクルトンどころかまさに💩。これがレモネードになるなんて想像できないよ、と思いながら、飲み続けます。私の場合は、朝早かったので眠気との戦いでもありました。ただ、その眠気も噴火口の異変の回数とともに吹き飛びます。激しい爆発を繰り返します。その後、雲を突き抜けるかのごとく激しい噴火を繰り返し、マグマの色が薄くなり、最後はレモネードになりました。ただ、レモネードになるまでに、私の場合、飲み始めてから4時間かかりました。当然、スターリングラードは終わっていました。

 このあと、お風呂でメンテナンスです。

3 検査の準備 検査前に便意を催したら迷わず行くべし。

 病院に着くと、着替えるように言われます。パンツを渡されます。片方に大きな穴が空いているから、そちらをお尻の方にして履いてくれと。穴、というより、10センチくらいの切れ目が入っているパンツでした。パンツを履き、あとは人間ドックでよくあるパジャマ的なものを着て準備完了です。この時、少し先ほどの下剤の残りか便意をもよおしたのですが、メンテナンスの意味がなくなるので、我慢しました。今、考えると行っといた方がよかったです。

4 いよいよ検査 なされるがまま。

 ベッドに横になるよう言われます。そのベッドには、犬や猫のトイレゲージに敷くおしっこ吸い取りシートがちょうど腰の部分にあります。痛み止めの薬をお願いしました。点滴で薬を入れられます。そのあと、必殺のポーチングです。秘部丸出しは慣れたものです。

 ここで、ライトオフ。何をされているかさっぱり分かりませんので、ここからは想像です。肛門にグロスのようなものを塗られ、肛門マウスピースをはめられます。そして、長い何かが体内にイン。体内の壁をズンドコズンドコと叩きながらどこまでも進んでいきます。 大腸という臓器はかなり長いと聞いたことがあります。どうやって先端を曲げているのか、さっぱり分かりません。途中で何か空気的なものが吹き込まれ、お腹が張ります。もしかしたら、お医者さんが口で入れているのかもしれません。

 この空気inからかなりきつい。強烈な便意をもよおすのです。こんなことならさっき行っておけばよかった、今、放出したら大変なことになる。あの犬猫シートでは足りない量の噴火を起こしてはならない、と、必死に耐えます。このころ、体がかなり痺れます。点滴の薬が最高潮に達したのか、薄れゆく意識、いや待て、意識が飛んだら噴火が止まらない、と思っていたら、お医者さんが器具を抜き始めた(多分)。抜き始めると同時に、ますます噴火口にパワーが集まるものの、肛門マウスピースが噴火口を閉めさせない…。

5 検査後のベッドタイム 人生を振り返る時間

 検査が終わります。意識はありますが、体がふらつくので、しばらく横になります。30分くらいだったと思います。寝るわけではない、ただ、ボーっとした意識の中で考えます。私が考えたことを覚えている限り書き出してみます。

 肛門から激しく突っ込まれた恥ずかしさ。尊厳的なものを失った悲しさ。毎日、人の肛門を見る肛門科のお医者さんの気持ち。待合室にいたたくさんの女性の肛門のこと。私の人生の残り時間。今まで、人に優しくしてこなかった後悔。トイレに行かせてほしい。

6 結果発表

 人生を振り返ること30分。看護師さんに声をかけられて、着替えをしたら診察室1番の前で待つように言われる。着替えたあと、すぐトイレに行きました。そもそも、何も入ってない。少しのレモネードと大量の空気。どんなけ吹き込んだんだ、という量でなかなか出来きらない。そのうち、トイレの外から声が聞こえます。「yamaさんは?」「帰ったの」「1番の前にいない?」…。「トイレです」かすれた声で言いました。

 診察室1番に入ると、画面には私の大腸がキレイに映し出されています。いろいろ説明してくださいましたが、一言でいうと「問題なし」だそうです。

 

 妻は安心してくれました。3年に一度くらい受けた方がいい、とお医者さんに言われました。しばらく勘弁です。