読書生活 

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クレーム対応

 昨日、スーパーに行ったら、入り口でじいさんが荒れていた。「カゴが除菌されてない!」と、自分の孫くらいの若い店員に向かって、頭の上に湯気が見えそうなくらいに怒りをぶつけていた。

 じいさんの話はこうだ。入り口にある除菌液で手をどんなに洗っても、店に積み上げられているカゴの手すりが除菌されていないと意味がない、だから、店側でカゴの手すりも拭くべきだ、と。

 じいさん、ここは庶民の集うスーパーだぞ。どんなサービスを求めているんだ。手で押すタイプの除菌液から、足で押すタイプになったのだってつい最近だ。それだけでも、この店にとってはがんばった方だと思うぞ。店員がカゴを一つずつ丁寧に拭き、客に手渡せ、とでも言うのだろうか。まあ、そう言ってるんだけど。

 騒ぎを聞きつけた店長が駆けつけてきた。若い従業員が耳打ちをして説明する。さあ、店長どうする?気になって買い物どころではない僕は、入り口のバナナコーナーでバナナを選ぶフリをしながら状況を見守った(正確には守ってないので、「状況を盗み見た」だ)。

 店長はひたすら「申し訳ありません」と頭を下げ続けた。理屈ではなく、とにかくこの場をやり過ごす作戦だ。じいさんは、ひたすら同じ主張を繰り返す。店長はもう頭が膝につきそうな勢いだ。盗み見ている僕もだんだん腹が立ってきた。

 すると1人のおばさまが、「あんた、うるさいんだよ!」と、じいさんにぶちぎれた。そして「じいさん、いい歳こいてみっともないこと言ってんじゃないよ!」おばさまの勢いに押されたじいさんは「2度と来ねえよ!こんな店!」と捨て台詞を残して去っていった。

 間違っているクレームの対応には、店側ではなく、客側の一言が1番の効果を発揮するということを学んだ。店側がどれだけ理屈を並べても泥試合になるだけ。電車の遅延で駅員にキレてるサラリーマンを思い出した。どれだけ駅員に詰め寄っても事態は改善しないどころか、人員がクレーム処理にさかれてますます悪化する。それより「仕方ないじゃないか、そうカリカリすんなよ」という客の気軽な一言の方がよっぽど効果があるんだよね。おばさんの「うるさいんだよ!みっともないこと言ってんじゃないよ」は、理屈を超越した破壊力満点の大砲だ。店長だって「あんたみたいなヤツは来なくていい」と腹の中では思っていても、なかなか口に出して言うことは難しいだろう。

 とにかく、コロナのせいかキレる人間が増えている気がする。僕はようやく2回目のワクチン接種ができた。副反応で熱が出て仕事を休みました。仕事に行ってる妻が、勤務時間なのに電話をかけてきてくれた。今日は焼きそばを作って、妻の帰りを待ってます。