読書生活 

本もときどき読みます

2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧

人生は長くない

中3のとき、わたしの祖父がガンで死にました。生まれてはじめてお葬式に出ました。親族みんなで集まって、学校を堂々と休み、久しぶりに会ったいとこと遊ぶ、わたしにとって祖父のお葬式はおもしろいイベントのひとつでした。 自分もいつか歳をとって死ぬと…

命を得た海上の巨大な鉄の城 『戦艦武蔵』吉村昭

大砲の射程距離38㎞!大砲一発の重量約1t!鉄でできた船底の厚さ40cm!軽自動車が40キロ先まで吹っ飛び爆発するわけです。まさに規格外。 とにかく秘密裡に作られました。すべてが国家機密で、その全体像を把握している人間はごくごく少数だったと…

『月のしずく』浅田次郎

三十年近くコンビナートの荷役をし、酒を飲むだけが楽しみ。そんな男のもとに、十五夜の晩、偶然、転がり込んだ美しい女……。出会うはずのない二人が出会ったとき、今にも壊れそうに軋みながらも、癒しのドラマが始まる。表題作ほか、子供のころ、男と逃げた…

100記事、3か月達成しました!

ブログをはじめようと思ったきっかけは、2月にぶらりとコンビニで立ち読みした雑誌です。アフィリエイトで副業しようという内容でした。ブログでお金を稼ぐ、月100万円も夢ではない、と書いてありました。あなたが寝ている間も、あなたが書いたブログが…

読書とは何かを知るためにはこの本しかない。これまでもこれからも。 『読書について』ショーペンハウアー

現代詩作家、荒川洋治さんの言葉です。「読書とは何かを知るためにはこの本しかない。これまでもこれからも」。この本を荒川さんはこのように熱くすすめています。これ以上の誉め言葉を私は知りません。読んでみました。 ショーペンハウアーさんはドイツの哲…

付和雷同体質 『超国家主義の論理と心理』丸山眞男

「誰と親しくすればよいのか」という嗅覚に優れた方、います。わたしも苦手ではありません。自分自身の判断より、その場を支配している空気を察しようとし、その空気を醸し出している人を探し、そういう人に判断を委ねようとします。わたしのこういう「付和…

冤罪事件と被害者遺族の悔しさの間で 『ドキュメント死刑囚』篠田博之

~死刑と向き合う~ 朝日新聞2017年5月20日朝刊です。 www.asahi.com 日本の死刑制度について、二人の識者が語っています。一人は関西大学法学部教授の永田憲史さん。もう一人は、英レディンス大学法学部専任講師の佐藤舞さんです。 永田さんは、世界…

『坂の上の雲』 司馬遼太郎

全8巻。司馬さんの作品の中では、一二を争うお気に入りです。日露戦争当時の日本を熱く描いています。 この時代の世界状況について、司馬さんはこう言っています。 19世紀からこの時代にかけて、世界の国家や地域は、他国の植民地になるか、それがいやな…

「オレを誰だと思ってるんだ」症候群 『街場のアメリカ論』内田樹

昨年退職なさった方が、この4月から関連会社に再就職しました。その方(Nさん)は我が社では出世した方で、退職時には相当な役職についていました。 しかし、そのぞんざいな態度と横柄な物言いで、部下からの信頼は一切ありませんでした。最終勤務日の退社…

毎年、仙台市とほぼ同じ人口が消えている 『自殺予防』高橋祥友

毎年、世界中で約100万人が自らの手で命を絶っています。この数は、殺人(約50万人)や戦争に関連する死亡(約30万人)を合計したものよりも多いとのことです。 日本の場合、主な自殺者層は青年と中年です。 青年の場合、 性格的な問題、家族との関係、衝…

この人、頭が少しおかしい(笑)『キミは他人に鼻毛が出てますよと言えるか』北尾トロ

フリーのライター「北尾トロ」さんが、日常生活の中にある「やってみたいけど、ちょっと勇気がいるよな」と、ついためらってしまう場面を思い出し、勇気を出してやってみた、そんな本です。 全部おもしろかったですが、特におもしろかったものを紹介します。…

願いが三つかなうなら 『輝く夜』百田尚樹

幸せな空気溢れるクリスマスイブ。恵子は、7年間働いた会社からリストラされた。さらに倒産の危機になけなしの貯金までわたしてしまう。「高望みなんてしない、平凡な幸せが欲しいだけなのに」。それでも困っている人を放っておけない恵子は、一人の男性を…

西郷どんは沖永良部島でかかった風土病により睾丸がかぼちゃほどの大きさになった 『翔ぶが如く』司馬遼太郎 

来年の大河ドラマの主役、西郷隆盛。西郷どんの活躍を描いた司馬作品が、この『翔ぶが如く』です。すでにこの作品は大河ドラマになっています。確かそのときの西郷は西田敏行だったかな。 この作品の中には、あまり知られていない西郷情報がつまっています。…

追い詰められたぎりぎりのところでも踏みとどまれるかどうかは、じぶんが無条件に肯定された経験をもっているかどうかで決まる 『悲鳴をあげる身体』鷲田清一

褒めてのびるタイプです、って自分で言う人いるでしょう。みんなそうです。みんな。 鷲田さんのこの本、名言がつまっています。ちなみに、哲学者で大阪大学の元学長という偉い方です。 人には肯定される経験が必要だと言います。肯定される経験とは何か。大…

成功と幸福の違い 『人生論ノート』三木清

1887年生まれの哲学者.。京大で西田幾太郎に学んだあと、ドイツに留学する。1930年、治安維持法違反で投獄される。その後活発な著作活動に入るが、再び検挙され、敗戦直後獄死。 なんと壮絶な人生でしょう。 「人間の本性は嫉妬である」と昔読んだこ…

生きる目的を探すために生きる 『司馬遼太郎が考えたこと 2』司馬遼太郎

すべての人が自由で平等であるべきだ、とのたてまえが当たり前になったのはつい最近のことです。人類は長い間、人は生まれながらに身分の上下があるという社会で生きてきました。身分制はもちろん今の常識に照らせばよくないですが、社会の安定には相当に貢…

働かなければ生きていけない

働くことが嫌いです。でも、働かないとお金を得られません。お金がないと食べられず生きていけません。お金がなくても働かないで暮らす方法はないものか、と考えてみました。 まず思いついたのは、狩猟採取で生きていくことです。食べ物を買わずに自分でとる…

「こだわる」「したいと思います」を使ってはいけないわけ 『書く力』 竹内政明

使ってはいけない言葉 池上彰さんは、NHKで記者やキャスターを歴任し今は大学の先生をなさっています。竹内政明さんは、読売新聞論説委員として活躍されています。この「言葉を生業にしている」お二人が書かれた文章執筆本。なかなかやります。 私たちが…

長嶋や寅さんの悪口を言う人はいるのか 『態度が悪くてすみません』内田樹

確か、「白い巨塔」だったと思います。黒木瞳が唐沢寿明に別れを告げるシーンでした。これだけはっきりと覚えているのですから、おそらくあっているでしょう。 黒木瞳が、「みんなに好かれる人なんていない。なぜならそういう人(みんなに)を嫌う人が必ずい…

デブで汗っかきがモテる時代が来た! 『今すぐ書け、の文章法』堀井憲一郎

雑誌記者として活躍中の堀井さんが、「モノを書く」ということについて語っています。今まで読んできた文章執筆法とはかなり違います。豪快です。 ほめてもらいたい文章を書くな。漢字を減らせ。すぐに改行しろ。 こんな感じです。 また、 美しい日本語は茶…

太平洋戦争の時には、暗号として鹿児島弁が使われた。『深海の使者』吉村昭

鹿児島の方言は暗号として使えるくらい凄い 鹿児島弁の使い手がドイツ大使館にいた 鹿児島弁(暗号)のやりとりの一部 鹿児島弁は暗号のよう。『関ヶ原』(司馬遼太郎)より 潜水艦での生活 鹿児島の方言は暗号として使えるくらい凄い 「カジキサー。ヨシト…

蛭子さん、どうしようもなくて好き(笑)

病院の待合室で、「女性自身」という雑誌を読みました。その中に「蛭子能収のゆるゆる人生相談」というコーナーがありました。ゆるいどころか、だだもれの液体です。紹介します。 若い男性からの相談です。「27歳のGカップ女性と付き合っていましたが、先…

「無」の境地で妻を待つ 人を待つということ 『態度が悪くてすみません』内田樹

私はせっかちな人間で、人を待つのも待たせるのも苦手だということを以前書きました。 yama-mikasa.hatenablog.com 特に待たされることが嫌いです。「お前みたいなもん、おとなしく待っとけ」と言われている気がするからです。考えすぎですか?私だけじゃな…

「忖度」って? 朝日新聞より 

「忖度」という言葉の特集が組まれています。4月30日の朝刊です。 www.asahi.com 「忖度」という言葉についての意見や解釈について、7人の読者の意見を述べています。共感できた2人の方の投稿を紹介します。 流通業界で仕事をしていますが、忖度しながら…

「宿題 なぜ子どもだけに」 子どもの疑問 

5月5日は「子どもの日」です。朝日新聞の読者投稿欄では、子ども特集が組まれていました。みんなそれぞれ個性的でおもしろい。その中で、私の一番のお気に入りを紹介します。 「宿題 なぜ子どもだけに」 11歳の小学生の投稿です。 私はぎ問に思います。…

誰かうちの娘を夜這ってくれ! 『菜の花の沖』司馬遼太郎

「若衆組」って知ってますか? 江戸時代から大正初期ごろまで、西日本にあった組織です。組織というと大げさですが、今でいう「消防団」に近いかな?一定の年齢に達した男子はみなその組織に入り、おとなになるための教育のすべてをうけます。 若衆組に入る…

宮本武蔵が機動隊を圧倒している 『宮本武蔵』司馬遼太郎

最先端のクローン技術によって甦った宮本武蔵が、武装した中国拳法の達人を一刀両断し、恐竜と同程度の戦力を持つ野人を退け、完全防御の機動隊員を盾ごと切り刻んでいます。週刊少年チャンピオン連載中の人気漫画「バキ」での話です。 実際の武蔵はどれほど…

「緑」と「翠」と「碧」の違い みどりのあれこれ

5月4日が「みどりの日」だと最近知りました。 4月5日の朝日新聞に「みどりの恵み」という記事がのっていました。日本色彩研究所の名取さんという方の記事です。 名取さんによりますと、「みどり」はもともとは色の名前ではなく、みずみずしく生命力あふ…

仙人本ブーム到来 『九十歳、何がめでたい』佐藤愛子

『九十歳、何がめでたい』という本が売れています。 黒柳徹子さん、瀬戸内寂聴さん、冨士眞奈美さん、安藤優子さん、辻村深月さんも、みなさん笑って泣いて大絶賛。 御年九十二歳、もはや満身創痍。愛子センセイが放つ「いちいちうるせえ」ほか怒りの書 この…

「が」を使ってはいけないわけ 『「分かりやすい文章」の技術』藤沢晃治

句読点を上手にうつにはどうしたらいいか悩んでいました。 いろいろな本を漁って調べているうちに、おもしろいものを見つけました。紹介します。『「分かりやすい文章」の技術』藤沢晃治さんです。 この本には、 要点を先に、詳細は後に書く。 長い文章では…