読書生活 

本もときどき読みます

小説を書くのは難しい

 本は少し読むけどweb小説はほとんど読まない。魔法や異世界設定の話が多そうなイメージがあって、没入できそうにない。

 ただ、web小説を甘く見てはいない。魔法でも異世界でも、小説づくりは、自分が書きたい設定や世界背景を定めただけではうまくいかないことを、さらに、その設定が筆者と同じ熱量で読書に伝わるとは限らないことを、僕は知っている。

 設定を現実世界からすっ飛ばし、異世界にリアリティを与えようと筆を走らせると「知識のお披露目が鼻につくだけで何が言いたいのかよくわからない何か」ができあがってしまう。だからといって、異世界の説明や風景描写を飛ばしすぎると「登場人物だけでなく筆者自身もあちらの世界に行っちゃってるのではないか、というくらい何が言いたいのかよくわからない何か」ができあがってしまう。

 ならばと現実世界を事細かに書いても、こちらの分野は競合作家が多く読者もスレていて、ちょっとやそっとの事件では見向きもしない。
 そう考えると、成功しているweb小説、あるいはライトノベルあたりは、本当にうまくできているのだと思う。

 と、僕が熱く語っているのはなぜかというと、年に一度くらいわきおこる小説を書きたいモードに入っているからだ。これだけぶつぶつ言っているのは、その小説書きがちっともうまくいかないからだ。

 まず、設定がムズイ。過去にヒットした小説の設定をいくつか上げる。

「不老不死が実現した社会で、強制的に100年後に死なされる」

「修学旅行でバスごと無人の島へと拉致される。助かるためにはクラスメイト全員を殺害しなければならない」

「妻と小学5年生の娘を乗せたバスが崖から転落し、妻の葬儀の夜、意識を取り戻した娘の体に宿っていたのは、死んだはずの妻だった」

「交通事故に五感の全てを奪われ、残ったのは右腕の皮膚感覚のみ。ピアニストの妻はその腕を鍵盤に見立て…」

 やっぱり、売れてる小説は設定が違う。

 筆力、テクニックも重要だ。例えば2本の話を並列に書く。それらが最終的にはひとつになり、化学反応を起こしストーリーがさらに一段上に走り出しクライマックスへ、となるのが理想だけど、なかなかそうはならない。読み手は、今はAの話を読んでいる。AB両方の話がおもしろければよいのだけど、たいていは、どちらかがつまらない、読者にとっては、AがおもしろければBが箸休めになってしまう。このダブルラインが両方とも強烈なら、成功はもうすぐそこまで来ている。僕の好きな「ジェノサイド」なんかこのお手本だし「麒麟の翼」もお見事です。

 先日、妻とネタ帳を買いに行った。とりあえず埋めてみたい。