読書生活 

本もときどき読みます

一盗、二婢、三妾、四妓、五妻 規範を破るほど快楽は増す。

一盗、二婢、三妾、四妓、五妻って深い。

 読み方、迷いますよね。「いっとう、にひ、さんさい、しぎ、ごさい」です。昔の男が女性と関係をもつ時に、心ときめく順序を並べたものです。

 一番最初の盗(とう)というのは他人の奥さんとエッチすることです。江戸時代であれば重罪です。2人そろって重ねて斬られても文句は言えませんでした。

 二番目の婢(ひ)というのは使用人のことです。「だんなさま、みんなに知られたら、私困ります」なんて言われながらエッチするのは相当に心ときめくことに違いありません。バレたらだんなの方だって結構困るかもしれないのだから。

 三番目の妾(さい)というのは第二夫人(おめかけさん)のことです。衣食住つきで別宅に住んで、時々通ってくるだんなさんと関係をもつ人のことですね。今でいうところの公認の不倫というか、ぜいたくな援助交際といったところ。

 四番目の妓(ぎ)は娼婦・娼妓を買うことです。ここからは今も公認といったところでしょうか。最後の五番目はそのまんまです。

 

 いつの世も「社会的規範」を越えることが興奮につながるんだな、と再確認しました。

 たとえば、三番目にあげられている妾。これ、一昔前までは社会的な規範の内部だったんです。気に入った人と関係をもてるのはいつの時代だって心楽しいことに違いありませんが、規範の内部にある限りそれは日常です。だから、実にうらやましいかぎりの妾ではありますが、ときめきの順序としてはどうしても三番目になります。

 

  先日こんな記事を書きました。遠い知り合いが、駆け落ちしたというものです。珍しいでしょ。不倫を飛び越して、その先の「駆け落ち」ですからね。

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 平凡な日常を生きている主婦だからこそ、駆け落ちする時のエクスタシーは強烈でしょう。毎週毎週不倫してたら、不倫でときめくことなんてなくなってしまいます。

 昔に比べ、規範力は弱くなってきました。現役の女子高生と関係をもつのは犯罪ですが、結婚してしまえば天下御免です(正直あまり納得できない)。規範力が弱まればそれから逸脱することは用意です。しかし、容易に逸脱できれば逸脱によるときめきは弱まってきます。だから、わたしたちがときめきを感じるためには、社会的な規範はもう当てにできず、自分で自分固有の規範を作る他ありません。 

 幸子、どこ行ったんだろう。