はちゃめちゃな男
映画化されています。主役の金俊平役は北野武が演じています。
映画化の際に、金役を北野武が希望したとのことです。
この作品(映画も)に流れる緊張感、暴力性は、
主人公は、大阪の蒲鉾登場で働く金俊平。
朝鮮人です。戦前日本に渡りました。
巨漢と凶暴さで極道からも恐れられています。
身長183cm、体重100キロ。
狭い額、扁平な鼻梁、分厚い唇、頑丈な顎、太い首。
魁偉な風貌と鋭い眼光。
腕力のみで何もかも手に入れます。
逆らうものは許さない。
この人間の凄まじさを紹介するエピソードを一つ。
敵が多いのです。
ある日、極道が群れを成して金のアパートにおしかけました。
皆手に日本刀を持っています。
「金、わしだ!出てこい!逃げたか!草の根をわけてでもきさまを探し出して八つ裂きにしてやる」
そういって、大勢でアパートの中に入るものの、金はいないわけです。
さんざん家の中で人暴れし、外に出てみると…
暗闇の中に巨漢の金俊平が仁王立ちになってみんなを睨んでいた。
夕闇を背にしてぬっと現れた巨漢の金俊平にさすがの極道たちも度肝を抜かれて驚いた。
上半身にさらしを巻いた上に鎖を二重、三重に巻き付け、両腕にも鎖を巻いている姿はまるで怪物のようだった。
金はまっ先に親分格の横っ面を桜の棍棒で叩きつけた。顎の骨が砕けたような音がして男は血反吐を吐いて倒れた。
「死にたい奴は前に出ろ!殺してやる!」
口から火を噴いているような苛烈な恐ろしい声だった。
「前に出ろ、きさまを料理して喰ってやる!」
この後、敵の親分は全身を粉砕されたあげく、耳を食われます。
私は、「ありえないだろう」と思わせてくれる人間を描いた作品が好きです。
ガリレオのような天才や、この作品の金のような破天荒な人間を描いた作品が好きです。この本好きでね、表紙のたけしがぎらぎらしてて。
何度も読んだら、ぼろぼろになってしまいました。