読書生活 

本もときどき読みます

「おまえらみたいな奴らが子育てしてっから、ロクな大人が育たねえんだよ」

 先週、先々週と続いた怒濤の仕事ラッシュがようやく終わり、わたしの業務はいつもの開店休業状態に戻りました。本屋に無目的によりだらだら立ち読みする。至福の時間ですね。

 

 するとだ。隣で声がする。この文章のお題にもした、なかなかシャープな一言。

電話の対応一つできないおまえらみたいな奴らが子育てしてっから、ロクな大人が育たねえんだよって感じ

 ずいぶんな独り言です。そっと声のする方に視線を向けました。独り言の主は、30代女性。ある本を手に取り、その表紙を見ながらつぶやいていました。カーキのスカートに白い長そで。

 そこに、その旦那さんと子どもが登場しました。とても興味がありましたが、怪しげな中年の視線を感じられる前に人間観察は終了です。

 

 その女性が手に取っていた本が『専業主婦が再就職するまでにやっておく8つのこと』です。平積みされていました。

 専業主婦でもない、転職の予定も退職の予定もないわたしが絶対に手に取らないであろう本です。だから、本屋っていいですね。ネットでの買い物ばかりになると、自分の好みしか手に入れなくなって、結局片寄った思考になりがちです。

 

 で、この「専業主婦が再就職するまでにやっておく8つのこと」です。

 題名だけ読むと、普通の専業主婦の方の成功談かとおもいきや、全く違います。とにかく好奇心旺盛、気力に満ち溢れ、才能、人格とも優れた女性が子どもをハーバードに入れてから「何すっかな」という感じで社会に出ていくという話です。

 そんな方ですから、専業主婦から、給食のおばちゃん⇒電話受付⇒外資系一流ホテルの営業開発担当副支配人になっちゃいます。

 自信のない専業主婦の方必読、とありますが、この本読んでどう自信を付けろというのか、と。あんただからできるんだろう、というツッコミが聞こえてきそうです。

 普通の主婦が読んでも全く参考にはなりませんが、このパワーと才能に溢れる女性の成功記とした読みものとしてはありです。

 先ほどの独り言の女性が、なぜ「おまえら~」というきつい一言をつぶやいたのかと言いますと、表紙に「電話対応すらできなかったわたしでも!」とあります。これを見て、あの女性は(電話対応すらできない)「おまえらみたいな奴らが~」となったのでしょう。

 表紙見ておわりじゃなくて、ページめくって少し読めば、電話対応すらロクにできなかったその方のお子さんがハーバードに行ってること分かったのに。まあ、人間の魅力は学歴ではないですが。

www.yama-mikasa.com

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