読書生活 

本もときどき読みます

『事故物件怪談 恐い間取り』は近年まれに見る正統派怪談だった。

『事故物件怪談 恐い間取り』を読んだ。 

 事故物件とは、住人が変死を遂げた「いわくつき」の賃貸物件のことを指すそう。この本は、事故物件をあえて選んで住むという変わった癖をもつ芸人「松原タニシ」さんのルポとなっています。 

 テレビ番組の企画として事故物件に次々と転居する松原さん。殺人事件が起こった、薬の過剰摂取で亡くなった、住人が仏壇の把手で首をつった…。概要を聞くだけで入室すらためらう部屋へ、松尾さんは嬉々として引っ越します。

作り話のホラーじゃない、ほんとの話。 

 子どもの頃、昼間見聞きした怖い話を夜思い出して何度も金縛りにあっていたわたしでは、絶対にできない芸当です。土曜の昼に放送されていた、新倉イワオの「あなたの知らない世界」は本当に怖かった。 

 引っ越した先で霊的な現象に出くわす、というのは怖い話あるあるです。シャワーからお湯ではなく長い髪の毛が出てきたり、壁のシミがだんだん人型になってきたり、多くの人が見たことがあるでしょう。

 何か感じる人は、かすかな音や空気の流れなどの変化を、霊的なモノと結び付けて解釈する傾向にあるようです。わたしもそうですが、蛇口から落ちる水滴の音すら霊の仕業と邪推し、ますます自分の恐怖心を膨らませていく。先にあげた壁のシミも「人に見えなくもない」という思い込みがさらにそう見せているだけであって、壁に死体が塗りこめられていることなどないのでしょう。

 たいていの怪談話は思い込みや嘘がちりばめられているものですし、それをわかっていてこちらも読んでいます。

 でも、この本は違う。ほんとの話。

 この筆者は全く霊感がないらしく、どのような物件に住んでも平気です。音や声にも基本ノーリアクションです。

 ただ、読んでいるこちらは恐ろしい。「人がそこで死んでいる」という事実とその痕跡にぞっとします。

 例えば、前住人が玄関のドアノブで首をくくって死んだ、という事故物件に住んでみると、ロフトに上がるハシゴのある段がへこんでいることに気づきます。そのへこみを見ると、ちょうどロープがかけやすいようにへこんでる。でも、確か首をくくったのは玄関のドアノブだよな、どうしてあんな低い場所にロープを引っかけたんだろう、こっちの方(ロフトのハシゴ)が首吊りしやすいだろうに、と思って不動産屋に聞いてみると、前の前の住人がロフトのハシゴで首を吊り、前の住人は玄関のドアノブで首を吊ったとのこと。こわっ!。

 また、松尾さんが事故物件に住んでいるときは、マネージャーが電話しても携帯電話の不調で通話ができないのに、引っ越したら通じるようになった、とか、有名な殺人事件が起きた部屋に棲めるはずだったのに、不動産屋が手違いで別の人と契約してしまって住めなくなり残念がっていたら、その事故物件に入居した人が部屋で自殺したので空いたとか、リアルに物騒な話が満載でした。そのロフトのハシゴの写真もあるんですよ。へこみがはっきりわかります。霊は写っていませんが、逆にそのシンプルなハシゴのへこみが恐い!

 基本的に怪談好き男性に多いようですが、この本は女性にも売れているんだとか。その理由に「事故物件の安さ」があるようです。霊感がない人は事故物件でも多分大丈夫。わたしは絶対住まないけれど。 

www.yama-mikasa.com

www.yama-mikasa.com

www.yama-mikasa.com