ゴッドタンを見て驚いた
毎週土曜の深夜『ゴッドタン』という番組が放送されています。司会の劇団ひとりとおぎやはぎが、旬の政治家や知識人をゲストに招き現代社会の問題点を掘り下げていくという番組です。
1月13日放送では、芸人として、最近は芸術家としても活躍している西野亮廣さんが登場しました。西野さんが書いた『革命のファンファーレ』という本を、劇団ひとりが紹介しました。この感想が凄い!
早速紹介します。
『革命のファンファーレ』西野亮廣
『革命のファンファーレ』を読んで
西野が本を書いた。どんな本かと思い手に取ったらまさかのビジネス書であった。西野が描いた「えんとつ街のプペル」という絵本を通じてビジネス界へ一石を投じている。絵本というファンタジーの世界から程遠い現実的で策略的な面が赤裸々に綴られており、売上至上主義というある種クリエイターにとっては残酷であり、無慈悲な数字の羅列に対し、真っ向から勝負する著者の姿勢には驚かされた。
そしてかの天才ピカソは絵を描く以上に商売が上手かったと言われている。しかしゴッホにはそれができなかった。もしゴッホが本書を読んでいれば歴史は大きく変わっていたに違いない。
未来のゴッホたちよ、本書を手に取れ。聞こえてくるのは革命のファンファーレだ。
この短さにして、このインパクト!何よりも「本書を読んでみたい」と思わせる名文です。
線を引き、二項対立にもっていく
以前、上手な書評の書き方として、ある部分で線を引いて二項対立にもっていくとよいという話を紹介しました。簡単に言うと「普通はこう思われているけど、実はこうだった」という表し方です。
この短い文章の中には、多くの二項対立が含まれています。
どんな本かと思ったら、ビジネス本だった。
芸人の書くお笑い本かと思いきやビジネス本だった、芸術家の描く絵本かと思いきやビジネス本だった、という線の引き方です。
売上至上主義というある種クリエイターにとっては残酷であり、無慈悲な数字の羅列に対し、真っ向から勝負する著者の姿勢には驚かされた。
驚かされた、というのも「こう思っていたけど実はこうだった」という思考の表れです。クリエーターがお金のことなんか考えるのは野暮ってもんだろ、と普通は思うだろうが西野は違うぜ、という線の引き方です。
かの天才ピカソは絵を描く以上に商売が上手かったと言われている。しかしゴッホにはそれができなかった。もしゴッホが本書を読んでいれば歴史は大きく変わっていたに違いない。
ピカソとゴッホ、両人とも偉大な芸術家ですが、ピカソは商売上手でゴッホは違ったと言います。大成功したピカソに対し、ゴッホは生前貧窮していたという話は有名です。そして、ピカソが手にした富と名声がこの『革命のファンファーレ』の主題となっています。
さらに極めつけがこれ。
未来のゴッホたちよ、本書を手に取れ。聞こえてくるのは革命のファンファーレだ。
成功を夢見る若き芸術家を「未来のゴッホ」とした点も秀逸ですが、最後にもう一度題名を入れて締める。「聞こえてくるのは革命のファンファーレだ」お見事だと思いますよ。