「ウンコはどこから来て、どこに行くのか」という本を読みました。小学生と同じくらい、わたし、ウンコネタ大好きです。
この本は、ウンコに真正面から受け止めている良書です。現代に至るまでのウンコの処理の仕方について、きっちり書いてあります。
筆者は言います。
「糞」は「畑に両手でまく」ことを意味するという説があり、「屎」は屍を意味する「尸」と「米」から成ります。肥料として畑にまくのか、米の屍として処理するのか。字義一つとっても、人間の向き合い方の差が表れています。また、水洗トイレの普及と和式から様式への移行により、ウンコに向き合う機会が減った今、多くの人が無味乾燥なのっぺらぼうの存在として捉えているのではないでしょうか。本書では、ニュートラルな片仮名表記のウンコを入り口に「汚物」の一言で切り捨てられるウンコが背負っていた多様な意味と役割を描きたかった。
「尿」「便」は常用漢字なのですが、「糞」「屎」は常用漢字ではありません。ちなみに後ろの2つ、両方とも「くそ」と読みます。
明治以前、都市部のウンコは農民に肥料として安く買い取られていたのですが、都市部の人口が爆発的に増えるとウンコが農村の需要をはるかに上回るようになり、処理物となりました。ここがウンコのターニングポイントです。ここを境にウンコはただの汚いモノ、子どもやわたしのような一部のマニアにしか喜ばれない「汚物」となってしまいます。
気になったのは、バキュームカーについてです。下水道普及に伴いバキュームカーは減少していったということは知っていますが、いまいち理解が浅い。そこで調べてみました。
浄化槽と下水道
下水道が普及する前、各家庭ではウンコを浄化槽に貯めていました。
浄化槽には2種類あり、一つは、ウンコだけを貯める単独浄化槽。この場合、ウンコ以外の生活排水はそのまま垂れ流します。
もう一つは合併浄化槽。これはウンコを含めた生活排水すべてを貯めるものです。
どちらの浄化槽も微生物の力で浄化してから自然界に放出されるのですが、さすがに微生物のパワーだけでは量が多く浄化しきれない。そこでバキュームカーの出番となるわけです。ウンコだけを貯める単独浄化槽は粘度が高いため、バキュームカーは必要不可欠となります。※あまりつっこまないで。詳しくは自分で調べてね。
下水道普及率
都道府県別下水道普及率が、日本下水道協会から発表されています。わたしが住む神奈川県の令和元年度の下水道普及率は96.9%。なるほど、バキュームカーを見ないわけです。
都道府県別の下水処理人口普及率 | 公益社団法人 日本下水道協会
このサイトによると、下水道施設の都道府県による差が激しく、1位の東京都の99.6%に対し、47位の徳島県は18.4%です。その差80%以上。同じ国とはとても思えません。この本にもありましたが、都市は大量排泄とセットであるため、下水道の普及は必須だったのでしょう。ちなみに各県でも市町別下水道設備普及率が出ています。お住まいの県の市町を調べてみてください。0%の町、なんてざらにありますから。
この本のタイトル「ウンコはどこから来て、どこに行くのか」のウンコの部分に別の言葉を入れても、興味深い本のタイトルになりそうです。
「ネコはどこから来て、どこに行くのか」
「コロナはどこから来て、どこに行くのか」
妻に聞いたところ、
「この列車はどこから来て、どこに行くのか」
「この想いはどこから来て、どこに行くのか」
と答えてくれました。わたしより断然興味深いです。
この本を読み終わって、1番驚いたのは、筆者が女性だということです。わたしには女性に対するそのような(女性とは的な)先入観があるのだとあらためて気付きました。まさに、「人は女に生まれるのではない。女になるのだ」です。ウンコと同じです。