読書生活 

本もときどき読みます

仏教伝来で肉食が禁止されたとよく言うけれど、実は違う。

 朝日新聞でこんな記事を見ました。2017年11月19日の朝刊です。

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 ずいぶん昔から、時の政権は日本人に肉食を禁じてきました。肉食が禁止されたもともとの理由というのは、確かに仏教伝来による殺生禁断によるものです。どんな命も大切にしろ、ということですね。

 この記事によると、一番最初の肉食禁止令は1350年前の天武天皇が出したモノだそうです。時代ごとに何度も肉食が禁止され、そして江戸時代にはその締め付けが厳しくなった、とあります。

 ところが、ある本でこんな文章を読みました。司馬遼太郎の『峠 上』です。

 日本人が獣肉を食わなくなったのは、仏教渡来以降であろう。宗教的禁忌である。かといって、すべての日本人が食わなくなったわけではなく、遠い田舎では猪や鹿のたぐいは食っていた。たとえば源平のころ坂東武者どもは狩りをしてはしきりとこれを食い、その体力を養った。

 しかし、徳川期に入ると、幕府は法律をもってこれを禁止した。徳川幕府が仏法殺生戒に対してきまじめであったというわけではなく、肉食によって日本人が強い体力をもつにいたることをおそれたのである。その法律が、徳川治下の民衆の思想にまでなった。けものの血や肉はすでに死がいである以上、神道でいうけがれであるとされた。そのくせ魚鳥のみはゆるされていたというのは、その程度の肉食は生存にとって最低限の要求であるため、しかたなかったのだろう。『峠 上』

 徳川幕府は本当に考えることがえげつない。全ての考えの根本が「徳川が天下を取り続けるためにどうしたらいいか」というところからスタートしています。国のことなんてお構いなし、自分たちの政権が続くために、下の者の力を封じ込めることばかり考えていたわけです。弱い部活の上級生を思い浮かべてください。うまくなろうとする下級生をしごいていじめぬき、向上心のかけらすら残させない徹底ぶりです。ただ、ずっといじめ抜くと反乱が起きますから、少しガス抜きもするわけです。生かさず殺さずというバランスを上手にとっていたとも言えます。

肉食によって日本人が強い体力をもつにいたることをおそれたのである。

って、凄いですよね。もちろん、諸説ありです。

 記事によると、天武天皇が命じた1200年後に、明治天皇が「肉食再開宣言」を出し、自ら牛肉を口にしたとのこと。西洋諸国と肩を並べようと体格向上のために肉食が推奨されたと言います。

 また、「山ガール」のように「狩りガール」(狩猟免許を持つ女性)が増えているとのことです。自分で撃った動物を食べる‥奥が深い。   

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