読書生活 

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勤続20年ハッピーホリデー。鹿児島へ行く。

 勤続○(10年、20年、30年)年スペシャルホリデー、という素敵なシステムがわたしの職場にあります。該当の年なら最大3日間いつでも誰でも休める権利です。管理職も例外ではありません。繁忙期は避けてね、という暗黙の了解はありますが。

 一昔前、この権利を行使する人はまれでした。誰かが休むと他の人間に迷惑がかかるから、という理由です。3日どころかたった半日、金曜日の午後に早退するくらいでした。若い頃から「いかに楽をするか」ということばかり考えていたわたしでさえ、周囲に気を使って何もできませんでした。

 7年くらい前だったか、勤続30年のスペシャルイヤーにあたる先輩女性が、「わたしは休む」と言ったんです。「わたしは休みたい。せっかくの権利を使わないのはおかしい。このままみんな休まなかったら、この権利はなくなるよ。誰かが休んだ分、みんなでフォローし合えばいいじゃないか」と。飲み会ではなく、管理職もいる会議の場での発言です。後光が射して見えました。いや、眩しくて見えませんでした。歴史を変える人というのはこういう人のことを言うんだな、そう思いました。

 その方は、2日の休みを取り、修善寺に一泊旅行に行きました。拍手喝采でした。彼女が悪習に風穴を穿ち、以降2日間は休むという流れが定着しました。そして、ここ数年の働き方改革の波が追い風となり(波だか風だかこんがらがりますね)、ようやくハッピーホリデー3日間完全行使が現実のものとなりました。

 該当社員は希望日を管理職に伝えると、管理職から職場に通知されます。同僚からは「どこ行くの?」と羨望の眼差しで見られます。残るみなさんも次は自分の番ですから嫌な感じは全くなく、気持ちよく送り出してくれます。

 わたしは「鹿児島へ行く」「羽田から飛行機さ」と宣言しました。西郷の最後の土地に初めて行ける。「晋どん、もうここでよか」ああ、西郷。知覧も鹿屋も初めてです。なついてくれてる若手は「飛行機大丈夫っすか」「お薬持っていってくださいよ」と先輩を先輩とも思っていないフランクな声をかけてくれます。帰ったら働くからね。みんなありがとう。みんなのことは忘れないよ。

 

 出発前夜、「全日空の羽田空港発鹿児島空港行きの便がトラブルのため、途中の空港に着陸する」という不吉なニュースが流れました。わたしを慕ってくれてる同僚から、心配するラインの1つもあるかと少し期待していたのですが、一切なし💧。

 建物が壊され更地になると、毎日見ていたはずなのに、その場所にどういう建物が建っていたかどうしても思い出せない、ということってありませんか?

 そこに新しい建物が建つと、一切思い出せなくなります。わたしの席に別人が座ってたらどうしましょう。

 ホワイトな職場なので、そんなことはないと思いますが。飛行機が動き出しました。では、行ってきます。待ってろ、西郷。しばらくさよなら福ちゃん(猫。アメショ)。