読書生活 

本もときどき読みます

乙武さん扮するR2を見て感じたこと

 年末のガキの使いで乙武さんが出てました。手足のない乙武さんがR2に扮するというネタです。 

ムムム

f:id:Yama-Mikasa:20190104172724j:plain

 「障害者を笑い物にするな」なんて意識は全くありません。むしろその逆です。向こうは障害者としてではなく、障害のない一般の人と同じように見てくれ、遠慮なく笑ってくれ、と言ってるわけですから。逆にテレビの前で「笑うぞ」と構えてる。

ムムムのわけ

 乙武さんの「五体不満足」が大ベストセラーになった時、わたしは手足のない彼の姿を見て衝撃を受けました。手足がなくてどうやって生きていくのか、と不思議に思って、わたしはあのとき「五体不満足」を手に取った。そういう人、多かったんじゃないかと思います。

 あれから10年以上経ちますが、もう今ではテレビで乙武さんを見てもなんとも思わない。見慣れたんだと思います。別に悪い意味ではありません。わたしの中で彼が消化されたということです。

 パラリンピックで活躍する選手もそう。一昔前までは、少し気張って見ないといけなませんでした。障害者を見た時にわたしの中で無意識に出てしまう「障害があるのにがんばってる」という思いを意識して封じ込めないといけないからです。

 でも、今ではそういうのなし。アスリートとして自然に見えるから、気張る必要もない。これもいい意味で見慣れたのかな、と思います。

 障害者を見て「可哀想」という気持ちもないし(何かできることがあったらするという気持ちはもちろんある)、活躍する障害者のスポーツ選手を見て素直に拍手を送ることができるところまで、わたしの中で障害者を見る目は変わってきました。

 障害者を見て(または、スポーツする姿を見て)、かわいそう、がんばれ、という気持ちはもうありません。ただ、障害者の障害を見て笑えるところまではさすがに至ってない。

 乙武さんはこのR2のネタの前にこう言ってます。

トレンディエンジェルの斎藤さんが、自分の髪の毛が薄い事をネタにしたり、太ってる芸人さんが体型をネタにしたり、ということがあっても、障がいのある人がそれをネタにすると、どうしても不謹慎だとかって言われちゃうじゃないですか。それは逆にまだまだなんかこう「越えなきゃいけない壁」があるのかなと思っていて、それをお願いできるとしたらこの番組しかないかな~と。

f:id:Yama-Mikasa:20190104172744j:plain

 この乙武さんの姿勢は全然ありですし(上から目線のつもりは一切なく、イチ視聴者としての感想です)、どんどんやってもらいたい。その壁をわたしも今回改めて感じました。その壁はわたしにはまだまだ越えられない。わたしもあと10年したらこれを受け入れられるようになりたいな。

『こんな夜更けにバナナかよ』 

 先月末、映画化されましたよね。この原作本を読みました。筋ジストロフィー症の主人公とその周りのボランティアの様子や葛藤、さらに日本の障害者関連法案に至る障害者の活動を詳細に追った本です。なかなかおもしろいです。

 今の日本で障害者が自立することの大変さが染みてきます。500ページを越える熱量です。

「障害」表記か「障がい」表記か

 ちなみにこの本では、「しょうがい」を「障がい」ではなく「障害」と表記しています。著者の渡辺さんは、その理由をこう書いています。 

 理由は、「障がい」がまだ十分に一般的な表記とはなっておらず、その表記を用いる「人権的配慮」だけが前面に出すぎるきらいがある、と私には思えるからだ。つまり、「障がい」を用いることで、かえって書き手の中立性が保てず、それどころか、自分は社会的弱者の側に立って物を言う「人権派・良識派」であることを過剰にアピールしているかのような押しつけがましさを醸し出してしまう。「障害」を「障がい」と表記することによって、自分は弱者の味方であると身の証を立てようとすることほど愚かなことはない。『こんな夜更けにバナナかよ P18 』

 さらに、渡辺さんは、「障がい」が一般化されたら「障がい」にいつでも変える、と言ってます。

 もし今後「障がい」という表記が十分に一般化し、最初に述べたような「押しつけがましさ」を感じないレベルにまで広まったと判断した場合には、本書の表記を「障がい」に書き変える可能性があることも書き添えておく。『こんな夜更けにバナナかよ p19』

 わたしもまさに同感。このプロローグが書かれたのは2013年です。2013年の時点で渡辺さんの感覚では、一般的には「障がい」表記はまだ一般的ではないということになります。

 わたし個人の感覚では、2019年1月現在もまだ「障がい」表記には「押しつけがましさ」を感じてしまいます。ただ、日テレは、先の画像でも分かるように「障がい」表記です。日テレは押しつけがましさを感じてないのかなあ。24時間テレビで障害者をよく取り上げてるからなあ。

 ちなみにNHKは「障害」表記らしい。

NHKが「障がい者」ではなく「障害者」を使いつづける理由 | ananニュース - マガジンハウス

 この記事を読むとどうやらNHKは「障害の社会モデル」の考え方に立脚している様子。詳しくは『こんな夜更けにバナナかよ』のP21をどうぞ。長くなるので引用しませんが。

 

※この記事を書いた後に、録画していたガキ使を全部見ました。2度目の登場「乙武リカルパレード」はおもしろかったです。

f:id:Yama-Mikasa:20190104184015j:plain

 完全にしてやられました。この2度目の登場があるって知ってたなら、この記事はもっと違ったモノになってたのに( ;∀;)。

 ただ、2300字も真面目に書いて「全消し」って嫌なので一応あげときます( ;∀;) 

www.yama-mikasa.com 

www.yama-mikasa.comwww.yama-mikasa.com