学校の不思議
8月21日の朝日朝刊です。興味深い記事を見つけました。
読んでいただく時間もないと思うので、ざっくりまとめます。
地毛証明書
5月の朝日新聞で「地毛証明書」についての記事が掲載されました。「地毛証明書」とは「地毛が生まれつきのものだということを示すための証明書」だそうです。これを都立高校の6割以上が生徒に提出させているとのこと。
この「地毛証明書」に対して批判が噴出しました。
その批判に対して、まず東京都教育委員会。
「頭髪指導をする中で、(地毛が茶色い生徒らに)間違った指導をしないために行われている」
次に、ある都立高の副校長。
「生徒に地毛を大切にするよう呼びかけているので、証明書が必要だ」
言ってることの意味がよくわかりませんが、百歩譲ってこれはいいとします。
「万引きしない」誓約書
しかし、先の記事で「万引きしない誓約書」という誓約書が存在すると知りました。引用します。
A4判4ページで「人のものをだまってとることははんざいです」と強調し、罪を犯した場合は、刑務所に入れられるか、罰金を払わされると説明しています。最終ページには「私は、何があっても、ぜったい万引きはしません!」と宣言文があり、児童が署名するようになっています。
都によると、3月末に都内の全小学校に電子データを送ったそうです。各校で印刷して、道徳の授業や生活指導の時間に教材として使うといいます。高学年や中学生向けのものもあります。都青少年課の和田栄治担当課長は「万引きは、はっきり駄目だと伝えるための内容」と話します。署名は「友達に誘われるなどしても、揺るがない姿勢を示すため」と説明しています。
どうなんでしょう。個人的には「なし」ですね。これ、やり始めたらきりがないでしょう。「いじめはしません」「カンニングはしません」「なぐりません」いちいち誓約書とる必要が出てきます。どうして「いじめ」や「暴力」ではなく「万引き」なんでしょう。
この記事には、学校の不思議として今でも残る学校文化をあげています。例えば、「無言清掃」「トイレ清掃」「無言給食」「校門での一方的なあいさつ運動」「靴を5ミリのずれなくそろえさせる」「日直」「朝の会・帰りの会」などなど。うーん。
わたしの線引き。
無言清掃:まあ、ありかな。
トイレ清掃:微妙。
無言給食:しゃべってばっかりで、時間内に食べ終わらない子がいるんでしょう。
校門での挨拶運動:微妙。
靴ぞろえ:微妙。
日直:微妙。
朝の会・帰りの会:微妙。
あれま、ほとんど微妙でした。あってもいいかな。違和感はありません。
最初にふれた地毛証明書に戻ります。批判の中には著名人からのものもありました。
例えば、尾木直樹さん。
「身体について証明書を出させるなんて明らかな人権侵害だ」
「大人は、子どもをケアしつつ人格を尊重するという、対等の関係を目指すべきだ。これは上からの一方的な押しつけだ」
茂木健一郎さんは、ブログで高校生に向けて
「君たちは全く悪くない。おかしいのは、世間であり、都立高校の方なのです」
と書いています。
先にあげた学校側の主張はいかがなものかと思います。しかし、ある都立高の教諭の考えを聞いて、複雑な気持ちになりました。
「地毛の場合は指導の対象にはしないという、指導と人権配慮のバランスをとるための苦肉の策だ。そもそも茶色の髪の毛はダメだという頭髪指導こそ人権侵害だ。だが、学校にそれを求めているのは世間であり、日本社会。その議論をせずに地毛証明書だけを批判するのはおかしい」
よくわかる。考えさせられました。