読書生活 

本もときどき読みます

司馬作品から見る戦国三英傑

新史太閤記から見る秀吉の生き方

 連休中、久しぶりに『新史 太閤記』を読みました。毎年一度は読んでますね。秀吉はわたしが歴史上で一番好きな人物です。あけっぴろげな感じ、死んでモトモトだぜ、という明るさがたまりません。

 同じ本でも、読む状況や年齢によって感じ方が違うものですが、今回は、以前より大きな違いを感じました。

 秀吉は会社員にとって参考になる点がほとんどありません。上役の草履をおなかであたためる式の卑屈な迎合(これをそう思ったことは、今までなかったのですが)は、良識を身に付けた今のサラリーマンにはやれと言われてもできません。

 第一、あたりまえの感覚をもっている上司なら、気味悪くて背筋に寒気が走るはず。もっとも、我が社のすっとぼけた上司なら、この草履とり的アピールに信長的な愉悦を味わうかもしれない。こんなスットコドッコイ上司は、うちの職場だけにしてもらわないと、日本の将来が心配ですが。

 

 そこまで精神を落として出世を計らねばならないのなら、いさぎよく出世をあきらめたほうがスジが通っているように思います。人生を豊かにするのは、今の時代、出世に限ったことではありません。

国盗り物語から見る信長の生き方

 『国盗り物語』も痛快で好きな作品の一つです。これを読むと、信長と秀吉は、同じ戦国三傑でも全然違うことがわかります(道三と秀吉はよく似ている)。

 信長の生き方もサラリーマンには参考になりません。そもそも社長の御曹司です。大学を出るなり親の会社を継いで、規模を拡大していく手腕はお見事ですが、雇われ者の経験をしたことはほとんどない。

苦労人、家康の生き方がサラリーマンのバイブルなのね 

 サラリーマンの参考になると言えば、やはり家康になるでしょう。小さい会社の社長の息子ですが、大会社の人質として明日も知れぬ悲しい日々を送り、社長職を無事継いだのが20過ぎてようやくです。今なら20そこそこなんて、大学のミスターコンテストに出てイキリ倒して女学生のおっぱいもむくらいの若造ですが、戦国時代の20と言えば、今の40くらいと考えていいでしょう。今の40…。満員電車の中で女性のおっぱいもんで、捕まりそうになって線路を突っ走って逃げる。おっぱいのネタしか思いつかない。あれ?40じゃなかった?調べたら、こいつも20でした。

 継いでからもレッキとした独立権がなく、いいジジイになるまで織田、豊臣という親会社に仕えて気苦労ばかりしてきている。下級サラリーマンの味こそ知りませんが、それに似た体験をふんだんにもつ苦労人です。

 そもそも、天下制覇のあとは、武士を戦士から事務官に本質転移させたサラリーマンの生みの親みたいな人物です。

 サラリーマンの英雄なら家康だったか。20年前に気づけばよかった。

 

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